FP相談でよく聞かれるのが「教育資金って、とりあえず普通預金に入れておけばいいですよね?」という質問です。数年前まではそれで問題ありませんでした。普通預金の金利は0.001%、定期預金でも0.002%。どこに預けてもほぼゼロで、差がつかなかったからです。

ところが2024年3月のマイナス金利解除以降、状況は大きく変わりました。2026年5月現在、メガバンクの普通預金金利は年0.30%、ネット銀行では年0.50〜0.75%。個人向け国債・変動10年にいたっては年1.67%です。

教育資金のうち「5年以上使わないお金」を普通預金に置きっぱなしにしている方は、この記事で預け先の選択肢を整理してみてください。

なぜ今「預け先の見直し」なのか?──金利差が年間1万円を超える時代

たとえば教育資金として100万円を預けるケースで考えてみます。

預け先金利(税引前)1年後の利息(税引後)
メガバンク普通預金0.30%約2,391円
ネット銀行普通預金(高金利)0.75%約5,977円
ネット銀行定期預金(1年)1.30%約10,358円
個人向け国債・変動10年1.67%約13,307円

※税引後は20.315%源泉徴収後の概算。個人向け国債は半年ごとの利払い。2026年5月時点の金利で試算。

メガバンク普通預金と個人向け国債を比べると、100万円あたり年間約1万円の差です。教育資金として300万円を10年預けると、その差は約30万円以上に広がります。これは無視できない金額です。

教育資金の「安全な預け先」3つの選択肢

結論から言うと家計の見直しが先ですが、すでに教育資金を確保できている家庭は「どこに置くか」で手取りが変わります。投資ではなく、元本が守られる範囲で比較します。

選択肢1:ネット銀行の普通預金(すぐ使えるお金向き)

2026年5月時点で、ネット銀行の普通預金金利はメガバンクの2〜3倍です。

  • あおぞら銀行BANK口座:年0.75%(100万円以下)/ 年0.50%(100万円超)
  • 住信SBIネット銀行ハビト支店:年0.60%
  • GMOあおぞらネット銀行:年0.50%

いつでも引き出せるため、生活防衛資金や1〜2年以内に使う教育費に向いています。うちの長女のとき実際に、小学校入学時の制服代やランドセル代が一気に来て家計が赤字になった経験があるので、すぐ動かせるお金は一定額キープしておくことを強くおすすめします。

選択肢2:ネット銀行の定期預金(2〜3年後に使うお金向き)

1年もの定期預金の金利は、メガバンクの0.40%に対してネット銀行では1.0〜1.45%と大きな差があります。

  • SBJ銀行(新規口座開設者向け):年1.45%
  • あおぞら銀行・auじぶん銀行:年1.30%
  • オリックス銀行:年1.25%

中途解約すると金利が下がるため、「この時期までは確実に使わない」と決められるお金を預けるのがポイントです。中学受験の塾代のように2〜3年先に必要になる費用の積み立て先として検討できます。

選択肢3:個人向け国債・変動10年(5年以上先の教育費向き)

2026年5月募集分の金利は以下のとおりです。

  • 変動10年(第194回):年1.67%(税引後 約1.33%)
  • 固定5年(第182回):年1.89%(税引後 約1.51%)
  • 固定3年(第192回):年1.57%(税引後 約1.25%)

個人向け国債の最大の特徴は国が元本を保証している点です。銀行預金のペイオフ(1,000万円まで保護)を超える金額でも安全に預けられます。変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば連動して利息も増えます。

ただし、購入から1年間は中途換金ができません(1年経過後は可能。直近2回分の利子相当額が差し引かれます)。このため、大学入学資金など5年以上先に使う教育費に向いています。

「3つの器」で教育資金を分ける──わが家の実践例

私は3人の子ども(長男・小5、長女・小2、次女・年中)それぞれの教育資金を、使う時期ごとに3つに分けて管理しています。

  1. 1〜2年以内に使うお金→ネット銀行の普通預金(制服代・学用品・塾の入会金など)
  2. 3〜5年後に使うお金→定期預金 or 学資保険の満期金待ち
  3. 5年以上先のお金→個人向け国債(変動10年)+新NISAでの積立

長男が12年前に生まれたときは「児童手当+学資保険で国公立は大丈夫」と思っていました。しかし国公立大学の授業料値上げや物価上昇を考えると、預け先を分けて少しでも金利差を活かすことは、地味ですが着実に効いてきます。Excel家計簿に年次シミュレーションシートを入れて管理するようにしてから、預け替えのタイミングも見える化できるようになりました。

預け先を選ぶときの3つの注意点

1. 金利キャンペーンの「条件」を確認する

ネット銀行の高金利は、新規口座開設者限定・一定期間のみ・特定サービスとの連携が条件のケースがあります。継続的にその金利が適用されるか、事前に確認しましょう。

2. ペイオフの上限を意識する

銀行預金は1金融機関あたり元本1,000万円+利息が保護対象です。教育資金が大きくなる場合は、複数の銀行に分けるか、個人向け国債(全額国が保証)を組み合わせると安心です。

3. 「増やす」と「守る」を混同しない

この記事で紹介したのはすべて元本が守られる安全な預け先です。新NISAでの投資とは役割が異なります。投資は値動きがあるため、教育費のように「使う時期が決まっているお金」の全額を投資に回すのはリスクがあります。安全資産と投資は分けて考えることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人向け国債はどこで買えますか?

銀行・証券会社の窓口やネット証券で購入できます。SBI証券・楽天証券・マネックス証券などのネット証券では、購入時にキャッシュバックキャンペーンを実施していることもあります。毎月募集があり、1万円から購入可能です。

Q2. 定期預金と個人向け国債、どちらがいいですか?

使う時期で選ぶのが基本です。2〜3年以内なら定期預金、5年以上先なら個人向け国債・変動10年が向いています。変動10年は金利上昇に追随しますが、1年間は換金できない制約があります。一方、固定5年は現時点で年1.89%と高金利ですが、今後さらに金利が上がった場合に恩恵を受けられません。

Q3. ネット銀行は安全ですか?

ネット銀行も預金保険制度(ペイオフ)の対象です。1金融機関あたり元本1,000万円とその利息が保護されます。セキュリティ面が不安な場合は、二段階認証の設定やアプリロックを活用してください。

Q4. 児童手当の預け先としてもネット銀行は使えますか?

はい。児童手当の振込先を高金利のネット銀行に変更するだけで、同じ貯蓄でも利息が変わります。ただし自治体によっては振込先に指定できる銀行が限られる場合があるため、お住まいの市区町村に確認してください。

Q5. 金利はこの先も上がりますか?

日銀は2026年4月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置きましたが、市場では2026年後半にさらなる利上げの可能性が指摘されています。変動10年の個人向け国債は半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇局面では有利に働きます。ただし将来の金利動向は不確実なので、固定型と変動型を組み合わせるのも一つの手です。

まとめ:「置き場所」を変えるだけで教育資金は育つ

金利がほぼゼロだった時代は「どこに預けても同じ」でした。しかし2026年現在、預け先によって年間1万円以上の差がつきます。投資のようなリスクを取らなくても、教育資金の置き場所を見直すだけで手取りは変わります。

まずは普通預金の残高を確認して、「すぐ使うお金」「数年後に使うお金」「5年以上先のお金」に仕分けるところから始めてみてください。

参考文献