2025年12月の税制改正大綱で、こどもNISA(こども支援NISA)の2027年1月スタートが正式に決まりました。年60万円・非課税保有限度額600万円・非課税期間は無期限。SNSでも「こどもNISA正式決定!」の投稿が大きな反響を呼んでいます。

でも、FP相談でよく聞かれるのが「うちの子、もう小学生なんですけど、今からでも意味ありますか?」という質問です。0歳から始めれば18年間フルに運用できますが、すでに小学校中学年や高学年のお子さんだと運用期間はぐっと短くなります。

結論から言うと、小学生からでも始める意味はあります。ただし、年齢によって「どこまで投資するか」「12歳の引き出し制限とどう付き合うか」の戦略はまったく違います。うちは長男(小5)・長女(小2)・次女(年中)と3人いるので、こどもNISA開始時にはそれぞれ中1・小4・小1。3人分の作戦を実際に練っている最中なので、年齢別のシミュレーションと注意点を整理しました。

こどもNISAの基本ルールを30秒でおさらい

項目内容
対象年齢0歳〜17歳
年間投資枠60万円(月5万円ペース)
非課税保有限度額600万円
非課税期間無期限
投資対象つみたて投資枠と同様の投資信託・ETF
引き出し制限12歳未満は原則引き出し不可(災害等を除く)
12歳以降の引き出し子どもの同意があれば可能
18歳以降成人NISAに自動移管(1,800万円枠に統合)

旧ジュニアNISAとの最大の違いは、非課税期間が無期限になったことと、12歳以降は条件付きで引き出しが可能になった点です。

年齢別シミュレーション──「あと何年運用できるか」で非課税メリットに大きな差

以下は、2027年にこどもNISAを開始して毎年60万円(月5万円)ずつ積み立てた場合の年齢別シミュレーションです。年利3%と5%の2パターンで試算しました。

ケース1:0歳で開始(運用18年)

  • 投資総額:600万円(10年で上限到達→残り8年は運用のみ)
  • 年利3%の場合:18歳時点で約871万円(非課税の運用益 約271万円)
  • 年利5%の場合:18歳時点で約1,115万円(非課税の運用益 約515万円)

ケース2:6歳(小1)で開始(運用12年)

  • 投資総額:600万円(10年で上限到達→残り2年は運用のみ)
  • 年利3%の場合:18歳時点で約730万円(非課税の運用益 約130万円)
  • 年利5%の場合:18歳時点で約832万円(非課税の運用益 約232万円)

ケース3:10歳で開始(運用8年)

  • 投資総額:480万円(8年間では上限600万円に届かない)
  • 年利3%の場合:18歳時点で約534万円(非課税の運用益 約54万円)
  • 年利5%の場合:18歳時点で約573万円(非課税の運用益 約93万円)

ケース4:15歳で開始(運用3年)

  • 投資総額:180万円
  • 年利3%の場合:18歳時点で約186万円(非課税の運用益 約6万円)
  • 年利5%の場合:18歳時点で約189万円(非課税の運用益 約9万円)

こう見ると「15歳だともう遅い」と感じるかもしれません。しかし、18歳で成人NISAに自動移管されるため、こどもNISAで投資した分は成人NISAの非課税枠(1,800万円)に組み込まれます。15歳から180万円を入れておけば、18歳時点でNISA枠をすでに180万円分使っている状態からスタートできる。大学入学直後にアルバイトで新NISA積立を始めるのは現実的に難しいからこそ、親が先に「枠の予約」をしてあげる意味は十分あります

「12歳まで引き出せない」は本当に困るのか?──教育費ピークとの照らし合わせ

こどもNISAで最も気になるのが「12歳未満は原則引き出し不可」というルール。中学受験を考えている家庭にとって特に悩ましいポイントです。

中学受験の費用ピークは小4〜小6(10〜12歳)で、塾代だけで年間80〜120万円かかるケースも珍しくありません。こどもNISAに月5万円をフルで入れていると、手元の流動資金が足りなくなるリスクがあります。

うちの長女のとき実際に感じたのが、小学校入学時に制服代・ランドセル代・学用品費が同月に集中して家計が赤字になったこと。教育費は「一度にドンと来る」性質があるので、こどもNISAに入れる金額は慎重に決めるべきです。

だからこそ、教育資金は以下の「3つの器」に分けて管理することをおすすめします。

教育費の「3つの器」

  1. 預貯金(生活防衛資金):生活費6カ月分+直近3年以内に使う教育費の見込み額を確保
  2. こどもNISA:12歳以降に使う教育資金(高校・大学費用)を長期運用
  3. 親の新NISA:引き出し制限がないので、中学受験費用など12歳前に必要な資金はこちらで運用

結論から言うと家計の見直しが先。こどもNISAの月5万円はあくまで上限であって、無理に満額を入れる必要はありません。月1万円でも月2万円でも、家計に負担のない金額で続けることが大切です。

子どもの年齢別・こどもNISA活用戦略まとめ

2027年時点の年齢運用期間おすすめ戦略
0〜3歳15〜18年児童手当+家計から月3〜5万円を積立。時間が最大の味方。焦らず続ける
4〜6歳12〜14年月2〜4万円を積立。中学受験予定なら親NISAとの併用を意識
7〜11歳7〜11年12歳制限に注意。高校・大学費用に絞って月1〜3万円。中受費用は預貯金か親NISAで
12〜14歳4〜6年大学費用の一部として。月1〜2万円でも非課税メリットあり
15〜17歳1〜3年運用益は限定的だが「成人NISA枠の先取り」として意味がある

2027年開始前に今やっておくべき3つの準備

① 児童手当の受取口座を生活費口座から分ける

児童手当が生活費に混ざると「いくら貯まっているか」が見えなくなります。まだ分けていない家庭は、2026年中に専用口座を用意しましょう。0〜3歳未満で月1.5万円、3歳以降は月1万円。この金額をこどもNISAの原資にする意識を持つだけで、2027年のスタートがスムーズになります。

② 親の新NISA口座を先に開設する

親がまだ新NISAを始めていないなら、こどもNISAより先にこちらを開設すべきです。親の新NISAには引き出し制限がないため、12歳前に必要な教育資金は親のNISA枠で運用するほうが柔軟性が高い。親のNISA枠が余っている場合はそちらを優先するのが効率的です。

③ 夫婦で「出口戦略」を共有する

こどもNISAのお金を「いつ・何に使うか」を夫婦で話し合っておくことが重要です。高校入学時に一部引き出すのか、大学入学まで全額置いておくのか。出口戦略が共有されていないと、必要なタイミングで夫婦間の意見が食い違います。わが家でも朝5時に起きてExcel家計簿を開き、3人分の「いつ・いくら・どこから引き出すか」のタイムラインを夫と共有しました。

よくある質問(FAQ)

Q1. こどもNISAと学資保険、どちらを選ぶべき?

A. 家庭のリスク許容度で判断が変わります。学資保険は元本保証の安心感がある一方、返戻率は105%前後が現状です。こどもNISAは非課税の恩恵が大きいですが元本保証はありません。すでに学資保険に加入済みなら途中解約せず、増額分をこどもNISAに回す「ハイブリッド型」が現実的です。

Q2. 12歳未満でも引き出せるケースはある?

A. 住宅の全壊など「やむを得ない事情」がある場合は、12歳未満でも引き出しが認められる見通しです。ただし、塾代や習い事費など通常の教育費支出は対象外です。

Q3. こどもNISAの600万円枠を使い切ると、18歳以降の成人NISA枠は減る?

A. はい。こどもNISAの残高は18歳時に成人NISAのつみたて投資枠に移管され、1,800万円の非課税保有限度額に統合されます。600万円を使い切っていた場合、成人NISAの残り枠は1,200万円です。ただし運用益は非課税のまま引き継がれるため、「枠の先取り」として十分なメリットがあります。

Q4. 児童手当だけでこどもNISAの年60万円を埋められる?

A. 児童手当だけでは足りません。0〜3歳未満で月1.5万円(年18万円)、3歳以降は月1万円(年12万円)です。満額にこだわらず、月1万円(年12万円)でも年利3%・10年間で約139万円になります。無理のない金額で始めましょう。

Q5. ジュニアNISAの残高はこどもNISAに移せる?

A. ジュニアNISA口座からこどもNISAへ直接移管(ロールオーバー)する仕組みは、2026年5月時点では正式に公表されていません。詳細は2026年中の政令・省令で確定予定です。ジュニアNISAの残高がある方は、18歳到達時の課税口座移管ルールもあわせて確認してください。

まとめ

こどもNISAは0歳スタートが最も有利ですが、小学生以上でも始める意味は十分にあります。大切なのは、子どもの年齢に合った金額設定と、12歳前・12歳後で「お金の置き場所」を分ける設計です。

2027年の開始まであと半年あまり。今のうちに児童手当の専用口座化と親の新NISA開設を済ませて、こどもの年齢に合った積立計画を立てておきましょう。

参考文献