9月のD・E判定は「合格不可」の証明ではない
\n\n毎年9月になると、「合不合判定テストでD判定が出た。もう諦めるしかないか」という相談が集中する。四谷大塚の合不合判定テストではD判定は合格可能性20〜30%を意味する。確かに厳しい数字だ。
\n\nしかし18年間で1500家庭以上を指導してきた経験から言えば、9月のD・E判定から2月に第一志望に合格した子には、共通した「逆転の構造」がある。その構造はシンプルだ。偏差値を上げるのではなく、「志望校で点が取れる力」を特定の方法で伸ばしている。
\n\n偏差値表ではなく過去問との相性で見ると、9月時点でD判定の子でも合格最低点を超えるルートが見えてくることは珍しくない。今回はその構造を3つの共通点から解説する。
\n\n共通点その1:模試の偏差値と志望校の得点力を切り離せている
\n\n逆転合格できる子の家庭に共通する最初の特徴は、「模試の判定」と「入試本番の得点力」を別の指標として扱えていることだ。
\n\n模試は集団内での相対的な位置を示す。入試は志望校の問題で何点取れるかを問う。この2つはまったく異なる。模試で偏差値60の子が志望校の過去問で合格最低点に届かないケースも、偏差値55の子が過去問との相性の良さで毎回合格ラインを超えるケースも、18年のコンサルで何十と見てきた。
\n\n9月にD判定が出た家庭がやるべき最初のアクションは、10月の模試でC判定を取ることではない。「志望校の過去問で、今どのくらい取れているか」を計測することだ。
\n\n具体的には、志望校の5年分の過去問を使って以下の3点を確認する。
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- 失点の内訳:計算ミス・立式不能・途中停止のどれが多いか \n
- 科目別得点率と配点の照合:算数配点が40%なのに得点率が40%以下なら最優先 \n
- 出題形式との相性:志望校が論述型か処理速度型か、記述比重は高いか低いか \n
D・E判定でも逆転合格した子は、10月の模試でC判定を取ることより、この「志望校での点の取り方の設計」を優先していた。
\n\n共通点その2:10月中旬までに「捨て単元」を確定できている
\n\n逆転合格できる子の2つ目の共通点は、引き算の発想ができていることだ。
\n\n残り12週間しかない。全単元を均等に伸ばす時間はない。この現実を直視して、「やらない単元」を先に決めている家庭が秋以降に伸びる。
\n\n捨て単元の確定基準は3つある。
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- 志望校の過去問5年分で出題頻度が低い単元 \n
- 失点比重が全体の10%以下の単元 \n
- 残り期間で合格最低点への貢献が見込めない単元 \n
このフィルターを通すと、多くの場合「捨ててよい単元」が科目ごとに1〜2個特定できる。算数なら流水算・通過算が頻出でない学校は多い。社会なら論述が要求されない学校では因果記述の練習は不要だ。
\n\nこんな事例がある。偏差値58の6年生男子でD判定が続いていた。志望校(偏差値62)の過去問を分析すると、算数が「記述型・途中式重視」の出題形式だった。本人の得意スタイルと完全に一致していた。逆に苦手だった「速さ・処理速度型」問題は志望校ではほぼ出題されなかった。捨て単元を2つに絞り、記述の練習と配点の高い頻出単元に学習時間を集中投下した。11月には過去問得点率が合格最低点を超え、本番も合格した。偏差値は最後まで61前後のままだった。
\n\n捨て単元の確定は10月中旬がデッドラインだ。11月以降は確定した捨て単元に手を出さない規律が逆転合格の土台になる。
\n\n共通点その3:暗記科目の「認識止まり」の穴を先に埋めている
\n\n3つ目の共通点は、理科・社会の暗記を「見れば思い出せる(認識レベル)」から「白紙から引き出せる(再生レベル)」に引き上げていることだ。
\n\nD判定家庭の多くは一問一答や暗記カードを毎日こなしている。しかしそれは「認識」の訓練にすぎない。入試本番で必要なのは「再生」する力だ。
\n\n認識と再生の違いはシンプルだ。
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- 認識レベル:「光合成」という言葉を見て「葉緑体で行われる」と思い出せる \n
- 再生レベル:「植物が栄養を作るしくみを説明しなさい」と問われて白紙から記述できる \n
逆転合格した子の秋の学習設計は、一問一答の時間を削り、「説明タイム(親に向かって今日学んだことを10分間口頭で説明する)」と「白紙再生テスト(テキストを閉じて知っていることをすべて書き出す15分)」の組み合わせに切り替えていた。
\n\nただし、この切り替えを全単元に適用してはいけない。志望校の出題マップで頻出の単元に絞り、1日15分の再生トレーニングに集中する。これが残り12週間の暗記科目設計の原則だ。
\n\n12週間の逆転合格設計:10月・11月・12月の3フェーズ
\n\n3つの共通点を実行に落とし込むと、10月から12月の3フェーズ設計になる。
\n\n10月:修正フェーズ
\n失点3分類の記録を開始し、立式不能が集中する単元を最大2つ特定する。捨て単元を10月中旬までに確定する。理科・社会の出題マップを完成させてA象限(頻出×苦手)を特定する。第二志望校の過去問演習は10月後半から開始する。
\n\n11月:仕上げフェーズ
\n11月中旬が志望校変更の最終デッドラインだ。過去問得点率が合格最低点の70%未満が続く場合は変更を検討する。理科・社会の説明タイム+白紙再生テストを週3回ペースで継続する。算数の重点単元は2周目の修正フェーズに入る。
\n\n12月:完成フェーズ
\n12月以降は新規単元の追加を禁止する。既存単元の精度向上だけに集中する。第一志望過去問の得点率80%が目標だ。1月校を2校以内に絞り、12月中に過去問を1回は解いておく。
\n\nD判定家庭がやりがちな3つのミス
\n\nミス1:問題集を追加する
\n焦りから新しい問題集を購入するが、既存の教材も消化できていない状態で教材が増えると、すべてが中途半端になる。残り12週間で同時走行できる教材は3冊以内が限度だ。D判定から逆転合格した家庭ほど、教材は少なかった。
\n\nミス2:第一志望を削って安全校の演習を増やす
\n合格率を上げるために安全校の過去問年数を増やそうとする家庭が多いが、逆効果だ。第一志望の2周目の完成度を犠牲にして安全校を増やすのは、第一志望で点が取れなくなるリスクを高めるだけだ。合格率を上げるのは安全校の演習量ではなく、第一志望での得点力だ。
\n\nミス3:10〜11月の模試判定に振り回される
\n10月・11月の模試でもD判定が続くと志望校変更を焦りがちだが、変更判断のデッドラインは11月中旬だ。それまでは過去問得点率の推移だけを見る。判断軸は偏差値差・出題相性・子どもの意志の3軸で、模試の判定1本で動かないことが鉄則だ。
\n\nまとめ:D判定は「今の位置」であって「2月の結果」ではない
\n\n9月のD・E判定は、今の集団内での位置を示しているだけだ。志望校の入試で何点取れるかとは別の話だ。
\n\n逆転合格できる子の共通点3つを改めて整理する。
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- 模試の偏差値と過去問得点力を切り離して考えられている \n
- 10月中旬までに捨て単元を確定し、引き算の設計ができている \n
- 暗記科目を認識レベルから再生レベルに引き上げている \n
この3点を10月の第1週から動かせるかどうかが、2月の結果を構造的に決める。
\n\n「志望校選定の段階で勝負は決まっている」とよく言う。秋以降の文脈でいえば、出題形式との相性分析と捨て単元の確定が、その「選定」の延長線上にある作業だ。9月のD判定は、この設計を今すぐ始める合図として受け取ってほしい。
\n\nよくある質問
\n\nQ1. D判定から逆転合格した子はどのくらいいますか?
\n四谷大塚の合不合判定テストでのD判定は合格可能性20〜30%を意味します。つまり100人中20〜30人は合格しています。特に出題形式との相性が高い学校の場合、この数字以上に逆転合格する可能性があります。ただし、志望校の出題分析と正しい方向性での努力が前提になります。
\n\nQ2. 9月のD判定から志望校を変えるべきですか?
\n9月時点での志望校変更は早すぎます。変更判断のデッドラインは11月中旬です。その時点で「過去問得点率が合格最低点の70%に届いていない」「出題形式との相性が低い」「子どもの意志が折れている」の3点が揃っている場合に検討します。9月の模試判定だけでは変更の根拠になりません。
\n\nQ3. 残り12週間で理科・社会はどのくらい伸びますか?
\n志望校の出題マップでA象限(頻出×苦手)に絞った場合、12週間で得点率を15〜25%改善できる事例が多くあります。ただし「一問一答の繰り返し」ではなく「説明タイム10分+白紙再生テスト15分」の組み合わせに切り替えることが条件です。全単元に適用しようとすると分散してしまい効果が薄れます。
\n\nQ4. 捨て単元を確定するのが怖い。本番で出たらどうなりますか?
\n捨て単元の基準は「志望校の過去問5年分で出題頻度が低い単元」です。本番で出る確率はもともと低い。全単元を中途半端に覚えるよりも、出題頻度の高い単元を確実に得点できるほうが合格最低点を超える確率は高くなります。捨て単元は科目ごとに最大2つまでが原則です。
\n\nQ5. 子どもがD判定を知って落ち込んでいます。どう声をかければよいですか?
\n「今の偏差値」ではなく「志望校の過去問で何点取れているか」の話に切り替えることを勧めます。「今月の模試の偏差値はこうだったけど、志望校の過去問では先月より〇点上がったね」という事実の確認が、根拠のない励ましより子どもの安心感につながります。親が動く範囲を最初に決め、感情的な声かけより過去問の数字に集中する環境を作ることが親の役割です。
\n参考文献・情報源
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- 四谷大塚「合不合判定テスト」判定基準および2026年度実施データ \n
- 首都圏模試センター「小6統一合判 2026年9月版 予想偏差値一覧」 \n
- ONETES株式会社「2026年中学入試結果偏差値一覧(合格率80%・50%)」 \n
- 文部科学省「令和5年度 学校基本調査」(私立中学進学率・受験率関連データ) \n






