FP相談でよく聞かれるのが、「扶養を外れると給付金がもらえなくなるって本当ですか?」という質問です。2026年10月に社会保険の加入要件が大きく変わるとあって、パート勤めのお母さんたちから特に多く届いています。

結論から言うと、児童手当と高校就学支援金は扶養と関係ありません。就学援助は所得連動ですが、一般的な世帯では扶養を外れても影響はほぼないのです。でも「ほぼ」という部分が大事で、ご自身の状況を確認する必要があります。今日は3ポイントに絞って整理します。

106万円の壁撤廃で何が変わるのか

2026年10月から、社会保険(厚生年金・健康保険)の加入要件が変わります。これまでの「月収88,000円以上・従業員51人以上の企業」という条件が撤廃され、週20時間以上働けば原則すべての企業で社会保険に加入義務が生じます

これは「106万円の壁」の実質的な撤廃です(月収要件は残りますが、週20時間・月8.8万円はほぼ同義)。夫の扶養に入りながらパートをしていた方が、この変更で社会保険に加入する対象になるケースが増えます。

扶養を外れると「いろんな給付金がもらえなくなる」と心配する声をよく聞きます。でも実際のところ、子育て関連の主要な給付金への影響はかなり限定的です。

ポイント1:児童手当は扶養に無関係

うちの長女が小学校に入ったとき、「扶養を外れると児童手当が減るかも」と思って調べたことがあります。今は制度が変わって、もうその心配は不要です。

2024年10月の改正で、児童手当から所得制限が完全に撤廃されました。支給額は:

  • 0〜2歳:月15,000円
  • 3歳〜小学生:月10,000円(第3子以降は30,000円)
  • 中学生:月10,000円(第3子以降は30,000円)
  • 高校生相当(2024年10月〜):月10,000円(第3子以降は30,000円)

第3子カウントは「18歳到達後の最初の3月31日まで」の子で数えます。うちは3人いるので、末っ子が高校を出るまで全員が第3子カウントの恩恵を受けられます。

扶養を外れても、社会保険に加入しても、児童手当は一切影響しません。受給要件は「子を養育しているか」「日本国内に住所があるか」のみです。

ポイント2:高校就学支援金も2026年4月から全世帯対象

高校の授業料を補助する「高校就学支援金」も、影響なしのグループです。

2026年4月から、高校就学支援金の所得制限が撤廃され、全世帯が対象になりました。それまでは年収約910万円を超える世帯は対象外でしたが、今は所得に関係なく支給されます。

支給額は公立高校で年間約11.8万円(月換算約9,900円)。私立高校はさらに上乗せがあります。

この制度も扶養・社会保険の加入とは一切関係ありません。子どもが高校(通信制・定時制含む)に在籍していれば受給できます。手続きは学校経由で行われるため、保護者が特別な申請をする必要はありません。

ポイント3:就学援助は所得連動だが一般世帯はほぼ影響なし

3つの給付金のうち、唯一「場合による」なのが就学援助です。

就学援助は市区町村が実施する制度で、給食費・学用品費・修学旅行費などを補助するものです。低所得世帯向けの制度なので、所得が一定以上あると対象外になります。

認定基準は自治体によって異なりますが、目安として「生活保護基準の1.0〜1.5倍程度の世帯収入」が多いです。横浜市の場合、4人家族で年収目安はおよそ270万円前後が基準ライン(自治体HP参照)です。

扶養を外れることで妻の収入が増えれば世帯収入も上がるため、ギリギリで認定されていた方は影響を受ける可能性があります。ただし、一般的なパート収入の範囲で社会保険加入した場合、就学援助の認定から外れるケースは少数派です。

今現在、就学援助を受けているご家庭は、市区町村の窓口で状況を確認しておくと安心です。

FP流3ステップ整理術

「扶養を外れるべきか」の相談を受けると、私はいつもこの3ステップで整理するようにお伝えしています。

ステップ1:手取り試算を必ずする

社会保険に加入すると保険料の自己負担が発生します(厚生年金・健康保険合わせて給与の約15%)。一方で、傷病手当金・出産手当金・老後の厚生年金など、長期的な保障が手厚くなります。

まず「加入した場合の手取り額」を試算してください。会社の給与担当者に確認するか、社会保険労務士に相談するのが確実です。

ステップ2:夫の会社の「家族手当」を確認する

見落としがちなのが、夫の会社が支給する「家族手当(扶養手当)」です。就業規則や労働組合に確認してください。妻が扶養から外れると支給されなくなる場合があります。

家族手当の金額は会社によって大きく異なります(月1万円〜3万円程度が多い)。給付金への影響より、こちらの影響の方が大きいケースも少なくありません。

ステップ3:固定費の見直しが先

結論から言うと家計の見直しが先、というのが私の基本スタンスです。扶養問題より前に、今の固定費(保険料・通信費・サブスク)を見直す余地がないか確認してください。

保険は特に重点チェックポイントです。社会保険に加入することで「高額療養費制度」「傷病手当金」の対象になります。重複している民間保険があれば、見直しのタイミングでもあります。

影響まとめ

給付金・制度 扶養外れによる影響 補足
児童手当 影響なし 2024年10月〜所得制限撤廃
高校就学支援金 影響なし 2026年4月〜所得制限撤廃
幼保無償化 影響なし 所得制限なし・全世帯対象
就学援助 場合による 所得連動・低所得世帯向け
夫の家族手当 影響あり(要確認) 会社規定により異なる
配偶者控除 影響あり 税制の話(給付金ではない)

よくある質問

Q1. 幼保無償化は扶養を外れても続きますか?

はい、続きます。幼保無償化は所得制限がなく、全世帯が対象です。扶養・社会保険加入の有無にかかわらず、3〜5歳のお子さんがいれば利用できます。

Q2. 扶養を外れたら何か手続きが必要ですか?

児童手当・高校就学支援金・幼保無償化については、特別な手続きは不要です。就学援助を受けている場合は市区町村の窓口に状況を伝えてください。夫の扶養削除手続きは会社の総務担当者を通じて行います。

Q3. 配偶者控除はどうなりますか?

配偶者控除・配偶者特別控除は税制上の制度で、給付金とは別の話です。妻の年収が150万円以下なら配偶者特別控除(最大38万円)が適用されます。150〜201万円でも段階的に控除が受けられます。201万円以上になると配偶者控除は受けられなくなります。

Q4. 高校生等奨学給付金は影響しますか?

高校生等奨学給付金は低所得世帯(住民税非課税世帯)向けの給付なので、一般世帯は対象外です。就学支援金と混同しやすいですが別の制度です。扶養問題より前に、そもそも対象かどうかを確認してください。

Q5. パートの時間を週20時間未満に抑えれば今まで通りですか?

2026年10月以降も、週20時間未満であれば社会保険への強制加入は発生しません。ただし、年収130万円(106万円)の壁は引き続き存在します。「時間を減らして壁を守る」か「フルに働いて壁を越える」か、どちらが家計にとって得かを試算することをおすすめします。

参考文献

  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」(2024年10月改正後)
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」(2026年4月改正後)
  • 文部科学省「就学援助制度について」
  • 厚生労働省「令和8年10月からの社会保険適用拡大」