「うちは収入が多いから児童手当はもらえない」「共働きだから関係ない」──そう思い込んでいるご家庭、実はまだかなり多いです。

FP相談でよく聞かれるのが、「児童手当の所得制限って撤廃されたんですか?」という質問。2024年10月に制度が大幅に変わったのに、変更後の手続きをしていないために1円ももらえていない家庭が、私のまわりでも続出しています。

結論から言うと家計の見直しが先──ではなく、今回ばかりは「市区町村への申請」が先です。届くはずのお金が届いていない状態は、毎月1万〜3万円を捨てているのと同じ。この記事では、再申請が必要な3つのケースと、5分でできる確認チェックリストをまとめました。

2024年10月の児童手当改正──何が変わったのか

まず改正のポイントを整理します。こども家庭庁が「次世代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援」と位置づけを明確にした、かなり大きな改正でした。

変更点改正前(〜2024年9月)改正後(2024年10月〜)
所得制限あり(上限超で支給停止)撤廃(全員が対象)
支給対象中学生まで(15歳年度末)高校生年代まで(18歳年度末)
第3子以降月15,000円(小学生まで)月30,000円(0歳〜高校生)
第3子カウント18歳年度末まで22歳年度末まで(経済的負担あり)
支給回数年3回(4カ月分ずつ)年6回(2カ月分ずつ・偶数月)

特に大きいのは所得制限の完全撤廃高校生への拡大です。以前は年収の目安が約960万円(扶養親族の数で変動)を超えると特例給付(月5,000円)に減額され、さらに上限を超えると支給ゼロでした。これがなくなり、すべての子育て世帯が満額を受け取れるようになりました。

「届くなら届いてるはず」が一番キケンな理由

うちの長女のとき実際に経験したのですが、行政の給付金は基本的に「申請主義」です。どれだけ制度が拡充されても、申請しなければ受給権は発生しません。

今回の改正で特に注意が必要なのは、以前は所得制限で支給停止になっていた世帯です。「止まった」ままの状態では、制度が変わっても自動的には復活しません。市区町村から届いた通知を見逃していたり、「どうせうちは対象外」と思い込んで通知自体を開封していないケースもあります。

FP相談の現場でも、こんな誤解をよく耳にします。

  • 「年収が高いから児童手当は関係ない」→ 所得制限は撤廃済み
  • 「共働きだから対象外では?」→ 世帯合算ではなく、生計を維持する方の所得で判定していたが、そもそも制限自体がなくなった
  • 「届くなら届いてるはず」→ 一度支給停止になった世帯は再申請しないともらえない

再申請が必要な3つのケース

以下に該当する方は、お住まいの市区町村への申請(認定請求書の提出)が必要です。

ケース1:所得制限超過で支給が止まっていた世帯

2024年9月以前に所得上限を超えて児童手当(特例給付含む)が完全に止まっていた世帯は、改めて新規の認定請求が必要です。市区町村から案内が届いているはずですが、届いていない場合は窓口に問い合わせてください。

なお、2025年3月31日までに申請すれば2024年10月分まで遡及して受給できる経過措置がありましたが、この期限はすでに終了しています。現在(2026年5月)から申請した場合、受給開始は申請月の翌月分からとなり、過去分の遡及はできません。

1カ月遅れるごとに1万〜3万円が消えていく計算です。気づいた時点で即行動してください。

ケース2:高校生の子どもだけがいる世帯

今回の改正で新たに支給対象となった高校生年代(16歳〜18歳年度末)の子どもだけがいる場合、これまで児童手当を受給したことがない可能性があります。この場合は新規申請が必要です。

ただし、すでに下の兄弟姉妹で児童手当を受給している世帯は、自治体によっては自動的に高校生分も加算される場合があります。お住まいの自治体の対応を確認しましょう。

ケース3:大学生の子がいて「第3子カウント」が変わる世帯

改正前は、第3子以降の多子加算で数えるきょうだいの範囲が「18歳年度末まで」でした。改正後は22歳年度末までに拡大され、親等の経済的負担があることが条件です。

たとえば、22歳の大学生(第1子)・17歳の高校生(第2子)・10歳の小学生(第3子)がいる場合、以前は大学生はカウント外でしたが、改正後は大学生もカウント対象になり、第3子の小学生は月30,000円を受給できます。

この変更に伴い、「監護相当・生計費の負担についての確認書」を提出する必要がある場合があります。対象になりそうな家庭は市区町村に確認してください。

5分でできる確認チェックリスト

以下の項目に1つでも「はい」がある方は、市区町村への確認・申請をおすすめします。

チェック項目該当する?
以前、所得制限で児童手当が減額・停止になったことがある
2024年10月以降、児童手当の振込額が変わっていない(増えていない)
高校生の子どもがいるが、その子の分の児童手当を受け取っていない
18歳〜22歳の子どもがいて、下に2人以上きょうだいがいる
市区町村からの児童手当に関する通知を「開封していない」or「届いた記憶がない」
転居したが、転居先で児童手当の手続きをしていない

確認方法は3つあります。

  1. 市区町村の公式サイトで「児童手当 制度改正」と検索して最新情報を確認
  2. マイナポータルの「わたしの情報」で児童手当の受給状況を確認
  3. 窓口または電話で直接問い合わせ(「2024年10月の改正で、うちは追加手続きが必要ですか?」と聞けばOK)

支給額の具体例──3児家庭のケースで計算

わが家の場合で計算してみます。長男(小5・11歳)、長女(小2・8歳)、次女(年中・5歳)の3人です。

子ども年齢区分第何子月額
長男(小5)3歳〜小学生第1子10,000円
長女(小2)3歳〜小学生第2子10,000円
次女(年中)3歳〜小学生第3子30,000円
合計月50,000円

年間60万円です。もしこれが所得制限で止まっていたら、毎月5万円×申請が遅れた月数分がまるごと消えることになります。仮に1年間放置していたら60万円の損失。これは「知らなかった」では済まされない金額です。

児童手当の「使い道」も見直すタイミング

せっかく制度が拡充されたこの機会に、児童手当の使い道も点検してみてください。朝5時に起きてExcel家計簿を開く私の習慣から言うと、児童手当は「入った瞬間に生活費に消える」状態が一番もったいないです。

おすすめは以下の3パターンです。

  1. 全額を教育資金用の専用口座に自動振替:生活費口座と分けることで「使える残高の錯覚」を防ぐ
  2. 一部を新NISAで積立:月1〜2万円を18年間積み立てれば、教育資金の大きな柱になる
  3. 第3子加算分(月3万円)だけ別管理:第3子の増額分は将来の進学費用に直結するため、他の生活費と混ぜない

児童手当を18年間全額貯蓄すると約234万円(第1子・第2子の場合)。第3子なら約700万円超になります。「公的データの裏付けはあるか」を最初に問うのが私の癖ですが、この数字はこども家庭庁の支給額表から計算できる確実な金額です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 所得制限撤廃後に申請しなかった期間の児童手当は遡ってもらえますか?

2025年3月31日までに申請した場合は2024年10月分まで遡及できましたが、この経過措置はすでに終了しています。現在から申請すると、申請月の翌月分からの支給となり、過去分は受け取れません。

Q2. 公務員の場合はどこに申請すればいいですか?

公務員は勤務先(所属庁)から支給されます。制度改正に伴う手続きも勤務先の担当部署に確認してください。自治体ではなく勤務先への申請が必要です。

Q3. 22歳の子がアルバイトで生計を立てている場合、第3子カウントに入りますか?

「親等の経済的負担がある」ことが条件です。子どもが経済的に自立している場合はカウント対象外になる可能性があります。判断が難しい場合は市区町村に相談してください。

Q4. 離婚・再婚した場合、児童手当の受給者はどうなりますか?

児童手当は「生計を維持する度合いの高い方」が受給者です。離婚・再婚で生計状況が変わった場合は、受給者変更の届出が必要です。特に離婚後に届出をしないと、元配偶者に振り込まれ続けるケースがあります。

Q5. 物価高対応子育て応援手当(子ども1人2万円)も別途もらえますか?

はい。2025年9月分の児童手当を受給している方は原則申請不要で、児童手当と同じ口座に自動振込されます。ただし公務員の方や2025年10月以降に出生したお子様がいる場合は別途申請が必要です。

参考文献

  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
    https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai/
  • 政府広報オンライン「2024年10月分から児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を」
    https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/jidoteate/
  • 横浜市「児童手当──令和6年10月から児童手当の制度が拡充されました」
    https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/jite-R6kaisei.html
  • 東洋経済オンライン「10月拡充の児童手当、手続きしないと貰えない人」
    https://toyokeizai.net/articles/-/835474