育休の終わりが近づくと、急に「やるべきこと」が押し寄せてきます。復職面談の日程調整、慣らし保育のスケジュール、手取りがいくら減るかの計算、夫婦の家事育児分担の再設計、制度申請の準備──。
実際に育休取った身として言うと、個別のタスクは把握していたものの「全体を時系列で整理する視点」が完全に抜けていました。結果、復職初週に朝のタイムラインが3回破綻し、妻と深夜に再設計する羽目になりました。
この記事では、6ヶ月の育休から時短復職した僕が「復職1ヶ月前にやるべき5つのタスク」を、週ごとのタイムラインで整理します。これから復職を控えている方は、ぜひ夏のうちに準備を始めてください。
なぜ「1ヶ月前」が分岐点なのか
育休中はどうしても「今日をどう乗り越えるか」に意識が向きがちです。しかし復職1ヶ月前を切ると、以下の5つのタスクが同時に動き始めます。
- 復職面談:上司・人事との復帰条件のすり合わせ
- 慣らし保育:子どもの園生活の立ち上げ
- 手取りシミュレーション:時短勤務による収入減の把握
- 夫婦の分担再設計:育休中とは違う「復職後仕様」への切り替え
- 制度申請の準備:養育期間特例・育休終了時報酬月額変更届など
これらをバラバラに処理しようとすると、どれかが漏れます。僕の場合、慣らし保育の期間を「子どもが園に慣れる時間」としか考えておらず、親自身の朝ルーティンの試運転に使わなかったことを今でも後悔しています。
【4週前〜3週前】復職面談で制約を先に明示する
最初にやるべきは復職面談です。上司にどう切り出したかなんですけど、僕は「相談」ではなく「報告+提案」のフォーマットで臨みました。
具体的には、以下の3点をA4一枚にまとめて持参しました。
- 意思:「○月○日から時短勤務で復帰します」と明確に伝える
- 配慮:「17時以降のMTGには参加できません」と制約を先に明示
- 期限:時短勤務の期間の見通しを伝える
制約を曖昧にすると「この会議だけ……」が積み重なるリスクがあります。先に明示することで、上司側が調整しやすい環境が生まれます。僕の場合、上司から「16時までに相談があれば遠慮なく声かけて」と協力的な反応を得られました。
復職面談で確認すべきチェックリストは以下です。
- 勤務時間(時短の開始・終了時刻)
- 出社・テレワークの頻度
- 担当業務の範囲と引き継ぎ状況
- 急な早退・欠勤時の連絡フロー
- 評価制度への影響の有無
【3週前〜2週前】慣らし保育は「親の朝ルーティン試運転」でもある
慣らし保育は一般的に1〜2週間で設定されます。厚生労働省の通知でも「1〜2週間程度が適当」とされており、初日は1〜2時間から始まり、徐々に給食・午睡・通常保育へと延ばしていく流れです。
ここで僕の最大の後悔をお伝えします。慣らし保育期間を「子どもを園に慣らす時間」としか捉えていなかったことです。
この期間はまだ育休中で出社義務がありません。つまり、朝6時起床→子の朝食→保育園送り→帰宅という一連の流れを、仕事のプレッシャーなしでテストできる絶好の機会なのです。
僕はこれを活用しなかった結果、復職初週に朝のタイムラインが3回連続で破綻しました。子どものぐずりで予定が崩れ、v1スケジュール(子どもが予定通り動く前提)はまったく機能しませんでした。
慣らし保育期間にテストすべき3つのこと
- 前夜準備の定型化:連絡帳の9割記入、翌日の服セット、保育園バッグの準備
- 朝のタイムライン実測:起床から保育園到着まで何分かかるかを3日間計測
- バッファの確認:通勤前に最低10分のバッファを確保できるか検証
保育園の送迎パパ仲間にもこの話を共有したところ、「復職前にそれ知りたかった」と口を揃えて言われました。慣らし保育は子どもだけでなく、親の朝ルーティンの試運転期間として使うべきです。
【3週前〜2週前】手取りシミュレーションは5ステップで
時短勤務で手取りがどれくらい減るか、正確に把握している人は少ないです。ネット上には「基本給25%減」の情報が多いですが、実際の手取り減少は社会保険料・賞与・住民税まで含めるとそれ以上になります。
僕は妻と夜な夜な電卓を叩き、以下の5ステップでシミュレーションを行いました。
- フルタイム時の給与明細3ヶ月分の内訳把握:基本給・各種手当・控除額を書き出す
- 時短比率を基本給と手当に適用:6時間勤務なら基本給×6/8で概算
- 標準報酬月額表から社会保険料を引き直す:等級が下がれば保険料も下がる
- 賞与も同比率で減額して年収を算出:ボーナスへの影響は見落としがち
- 妻の収入と合算して世帯年収で家計を再設計:個人ではなく世帯で考える
僕の場合、年収ベースで約26%減(約130万円減)という結果になりました。特に盲点だったのは、時短1年目は前年所得ベースの住民税が高いまま残ること。体感の減収幅が最も大きくなる時期です。
この計算を復職前に済ませておくことで、復職後の「思ったより手取りが少ない」というパニックを防げます。
【2週前〜1週前】夫婦の役割分担を「復職後仕様」に再設計する
育休中の分担と復職後の分担はまったく別物です。復職すると、朝の送り・夕方のお迎え・夕食準備・入浴・寝かしつけの一連の流れを、限られた時間の中で回す必要があります。
僕と妻がやったのは、復職後の平日タイムラインを30分刻みで書き出すことでした。
- 6:00 起床(パパ)→ 朝食準備
- 6:30 子ども起床 → 朝食・着替え
- 7:30 保育園送り(パパ)
- 8:30 出社
- 17:00 退勤 → お迎え(パパ or ママ:曜日で分担)
- 18:00 夕食準備(お迎えしなかった方)
- 19:00 入浴 → 寝かしつけ
ポイントは「お迎え担当」と「夕食準備担当」を曜日で固定すること。毎日「今日どっちが迎えに行く?」と交渉していると、それだけで消耗します。
また、この段階で名もなき家事(日用品の在庫管理、子どもの衣類サイズ管理、保育園の書類対応など)も洗い出しておくことを強くおすすめします。育休中に妻から「あなたの家事リスト、本当にそれだけ?」と指摘されたことがあり、付箋で全タスクを書き出したら自分32枚vs妻67枚という現実に直面しました。
【1週前】制度申請リストを準備する
復職後に利用できる制度は、自分から申し出ないと適用されないものがほとんどです。以下の3つは復職前に必ず確認してください。
1. 養育期間標準報酬月額特例
3歳未満の子を養育する期間中、時短勤務で標準報酬月額が下がっても、将来の年金額は育休前の高い水準で計算される特例制度です。日本年金機構に「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出します。会社経由での提出が一般的ですが、自分から人事に申し出ないと手続きが始まらないケースがあります。
2. 育児休業等終了時報酬月額変更届
育休から復帰して給与が下がった場合に、通常の随時改定(2等級以上の変動)を待たず、1等級の変動でも社会保険料を見直せる届出です。復帰後3ヶ月間の平均給与をもとに改定されます。
3. 育児時短就業給付金(2歳未満が対象)
2025年4月に新設された制度で、2歳未満の子を養育するための時短勤務中に、賃金の10%相当額が給付されます。ただし、申請期限は支給対象月の末日から4ヶ月以内です。対象年齢や申請期限を見落とすと給付を受けられないため注意してください。
これら3つの制度を「制度申請リスト」として一覧化し、復職初日に人事へまとめて相談するのが最も効率的です。
復職1ヶ月前タイムラインまとめ
| 時期 | タスク | やること |
|---|---|---|
| 4〜3週前 | 復職面談 | 意思+配慮+期限の3点セットで上司に報告。制約を先に明示 |
| 3〜2週前 | 慣らし保育 | 子どもの園慣れ+親の朝ルーティン試運転。前夜準備を定型化 |
| 3〜2週前 | 手取り計算 | 5ステップで世帯年収ベースの家計再設計。住民税の盲点に注意 |
| 2〜1週前 | 分担再設計 | 平日タイムラインを30分刻みで書き出し。お迎え担当を曜日固定 |
| 1週前 | 制度申請準備 | 養育期間特例・報酬月額変更届・育児時短就業給付金の3点リスト化 |
このタイムラインの最大のポイントは、すべてを直列ではなく並列で進めることです。復職面談と慣らし保育は時期が重なりますし、手取り計算と分担再設計は夫婦の夜時間で同時進行できます。
復職後に「もっと早くやればよかった」と思うこと
時短復職のリアルは、制度を知っているかどうかで大きく変わります。僕の場合、手取りシミュレーションを復職前に済ませていなかったら、復職初月の給与明細を見てパニックになっていたはずです。
そして何より、慣らし保育を朝ルーティンの試運転に使わなかったことは本当に後悔しています。復職後の朝ルーティン修正は仕事のプレッシャーとの同時進行になり、精神的な負荷がまるで違います。育休中なら「今日は5分遅れた、明日は調整しよう」で済む。復職後は「遅刻する」という切迫感が加わります。
復職準備は「個別タスク」ではなく「時系列タイムライン」で管理する。これが、復職1ヶ月前の最大の段取りです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 復職面談はいつ頃申し入れるべきですか?
復職予定日の1〜2ヶ月前が目安です。企業側も業務の再配置や体制調整が必要なため、早めの連絡が望ましいでしょう。僕は復職4週前に1on1の場で切り出しました。育児・介護休業法では、事業主は復帰前の面談を行う努力義務があります。
Q2. 慣らし保育中にも育児休業給付金はもらえますか?
育休期間中に慣らし保育を行う場合、育児休業給付金は引き続き受給できます。慣らし保育は育休終了前に開始するのが一般的で、復職日と慣らし保育終了日のタイミングを合わせるのがポイントです。
Q3. 養育期間特例と育休終了時報酬月額変更届は両方申請すべきですか?
はい、両方申請することをおすすめします。養育期間特例は将来の年金額を守る制度、育休終了時報酬月額変更届は現在の社会保険料を適正化する制度です。目的が異なるため、セットで申請するのが合理的です。日本年金機構のサイトから書式をダウンロードできます。
Q4. 手取りシミュレーションは自分でやるべきですか?FPに頼むべきですか?
まずは自分で概算を出すことをおすすめします。給与明細3ヶ月分と標準報酬月額表があれば、ざっくりの計算は可能です。より正確な数値が必要な場合や、住宅ローンとの兼ね合いがある場合はFPへの相談を検討してください。
Q5. 育児時短就業給付金は子どもが2歳を超えたらもらえませんか?
はい、2025年4月に新設されたこの制度は「2歳未満の子を養育するための時短勤務」が対象です。子どもが2歳の誕生日を迎えた月以降は支給対象外となります。また、申請期限は支給対象月の末日から4ヶ月以内と定められているため、早めの申請が重要です。






