「今日も俺、ちゃんとやったよな」と思いながら洗い物を終えた夜、妻の背中がどこか冷たい。そんな経験はありませんか。僕はあります。しかも一度や二度ではありません。
橘です。法人営業を10年やり、6ヶ月の育休を経て時短勤務で復職した、武蔵小杉在住の年少の息子のパパです。この記事では、共働きの家事分担で「不公平だ」という気持ちがたまったとき、責め合いにならずに話し合うための方法を、僕の家の事例と公的な数字を分けて整理します。
先にお断りしておくと、うちは専業主婦家庭ではなく共働きで、僕が時短、妻はフルタイム寄りという条件です。ご家庭の事情で当てはまらない部分は、そのまま持ち帰らず調整してください。
なぜ「ちゃんとやっているのに不公平」と感じるのか
数字で見ると、まだ偏りは残っている
まず制度ではなく統計の話から。総務省の令和3年社会生活基本調査を要約した愛知県の公開ページによると、6歳未満の子がいる夫婦と子どもの世帯の育児時間は、2016年と比べて夫が1時間5分(20分増)、妻が4時間(27分減)でした。夫の関わりは増えているものの、差はまだ大きい、というのが公式の数字です。
また山口県の資料は、同調査の「6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間」の全国平均を1日1時間54分と紹介しています。なお、これは家事関連時間(家事・育児など)の数字で、育児だけではありません。夫婦の時間をそのまま比べるときは、定義をそろえて見てください。
ここで大事なのは、「平均がこうだから、うちも妻が多いはず」と決めつけないことです。平均はあくまで全国の話で、うちの家の答えではありません。僕は自分の体験と制度・統計をきっちり分けて考えるようにしています。
原因は「やった量」より「見えている量」の差
実際に育休取った身として言うと、育休の最初の1ヶ月は、家事が驚くほど「見えていなかった」と痛感しました。ゴミ出しや洗い物は見える。でも、保育園の持ち物の補充、洗剤やおむつの在庫の把握、予防接種の予約、季節ごとの服の入れ替えは、誰かが頭の中で管理していないと回りません。僕はそれを妻が静かにやっていたことに、休んで初めて気づきました。
不公平感は多くの場合、「やった量」の差というより「頭の中で管理している量」の差から生まれます。ここが見えないまま「もっとやってほしい」と言うと、相手は「やっているのに」と反発します。だから最初にやるべきは、分担の交渉ではなく見える化です。
ステップ1:家事を「実行」ではなく「管理」まで書き出す
最初の作業は、夫婦それぞれが付箋かメモアプリで、思いつく家事を全部書き出すことです。コツは3つあります。
- 洗い物・洗濯のような「実行」だけでなく、「気づく・決める・予約する・補充する」といった「管理」の作業も書く。
- 自分がやっていないことも、思いつく限り書く。むしろ「誰がやっているか分からない」ものが宝の山。
- 書き出す時間は、各自10分と決める。長くやると責め合いの材料探しになる。
そのうえで、各項目を次の3列で表にします。うちで使っている形の例です。
| 家事 | 実行する人 | 気づいて段取りする人 | 1回の目安時間 |
|---|---|---|---|
| 朝食の準備・食べさせ | 僕 | 僕 | 30分 |
| 保育園の持ち物補充 | 僕(やる日を決める) | 妻→僕に移行を相談 | 10分 |
| 夕飯の献立決め | 妻 | 妻 | 10分 |
| 浴室掃除 | 家事代行(スポット) | 僕 | — |
表の数字は「うちの場合の目安」で、正確に測ったものではありません。大切なのは、右から2列目の「気づいて段取りする人」を分けて書くことです。実行は僕でも、気づくのは全部妻、という家事が意外に多いことが、この表だと一目で分かります。
ステップ2:責めずに切り出す「事実→気持ち→提案」の順番
表ができたら話し合いです。上司にどう切り出したかなんですけど、育休のときは「相談」ではなく「報告+提案」の形にしたら、相手が判断しやすくなりました。家庭内でも、基本は同じだと感じています。
「なんでやってくれないの」「手が回らない」だと、相手は評価されたと受け取って防御します。次の順番にすると、会話が続きやすくなります。
- 事実:「表にすると、気づく作業が私のほうに多く見える」(数字や表を指す)
- 気持ち:「それが続いて、最近少し余裕がなくなっていた」(自分の状態を述べる)
- 提案:「保育園の持ち物は、気づくところから僕が持ってもいい?」(具体的な1つ)
ポイントは、提案を「1つだけ」に絞ることです。一度に5項目の交代を決めると、翌週には崩れます。表の中で、気づきから実行まで丸ごと渡せる家事を1つだけ選んでください。
切り出すタイミングを決める
疲れた平日の夜や、子どもを寝かしつけた直後は避けたほうが無難です。うちの場合は、お互いの余裕がある週末の午前を使っています。また、月曜夜に5分の「チェックイン」をして、疲れ具合を1〜5の数字で伝え合う習慣があります。これを入れてから、感情的な言い合いが減りました。
ステップ3:「丸ごと渡す」「外に出す」「やめる」で減らす
分担を見直すというと、夫婦の間で家事を行き来させる発想になりがちです。でも、選択肢は3つあります。
- 丸ごと渡す:実行だけでなく、気づく・決める・補充するまで担当を移す。途中で口を出さないのがルール。
- 外に出す:うちは浴室掃除だけ、家事代行のスポット利用に切り替えました。全部を外注する必要はなく、「どちらも苦手で、後回しになりがちな1つ」から試すと負担が見えやすい。
- やめる・減らす:干す量を減らす、平日の献立は定番化するなど、やらない選択も含める。
時短復職のリアルは、定時で上がれる分、夕方以降の家事が自分に寄っていく一方で、仕事で調整できる時間は他の人より少ない、ということです。だから僕は「時間がある側が多めに持つ」を前提にしつつ、自分が持ちすぎて消耗しないように、外に出す・やめるをセットで考えています。
「渡されたほうの注意点」
丸ごと渡された側は、最初は品質が違うことがあります。たたみ方、洗剤の量、献立の好み。これを直すと、渡した側が管理を取り戻してしまい、元の木阿弥です。「安全と衛生に関わらないことは、やり方を任せる」と最初に決めておくと、揉めません。
上司・同僚目線で見る、家庭の話し合いの副作用
職場でも家庭でも、僕が大事にしているのは「制約を先に出す」ことです。家庭で気づく作業を引き受けるようになると、不思議と職場でも、子どもの急な発熱に備えた引き継ぎメモを早めに書くようになりました。ただ、これは僕の体験で、全員に起こる変化ではありません。
一方で、家庭の分担を増やした結果、仕事の側に影響が出ることもあります。上司や同僚にとっては、予定が読みにくくなるからです。朝のチャットで「今日は17時で退勤します」と一言添えるだけでも、周囲の負担感は変わります。家庭の見える化は、職場への見える化とセットで考えるのが現実的だと思います。
うまくいかないときの確認ポイント
- 表を見て、片方が「責められている」と感じていないか。→ 事実の列だけを共有し、評価の言葉を入れない。
- 提案が多すぎないか。→ 1つに戻す。
- どちらかが仕事の繁忙期ではないか。→ 期間限定の分担として、終わりの日を決める。
- 見直しの日を決めているか。→ 1ヶ月後に、同じ表で振り返る。
よくある質問
Q1. 妻(夫)が話し合いに乗ってくれません。どうすればいいですか?
いきなり分担の話に入ると身構えられます。まず「自分が見えていなかった家事」を自分から書き出して見せるのがおすすめです。相手に求める前に、自分の見落としを認めるほうが、会話が始まりやすいです。
Q2. 家事の時間を完全に半分ずつにするべきですか?
必ずしも半分である必要はありません。勤務時間や通勤時間、子どもの送迎の有無で、使える時間は家庭ごとに違います。「納得感」が基準です。僕は時短で夕方に動ける分、多めに持ち、そのかわり週1回の1人時間を交代で確保しています。
Q3. 家事代行は、どの家事から試すのがいいですか?
うちは浴室掃除でしたが、「二人とも苦手で後回しになる」「やると時間がかかる」ものが向いています。料金はサービスや地域で異なるので、スポット利用の条件は各社の公式情報で確認してください。
Q4. 統計では妻のほうが多く育児をしているのは本当ですか?
総務省の令和3年社会生活基本調査では、6歳未満の子がいる夫婦と子どもの世帯の育児時間は、夫が1時間5分、妻が4時間と整理されています(愛知県の公開ページより)。ただしこれは全国の平均で、個々の家庭の実態とは別です。
まとめ
家事分担の不公平感は、「やった量」よりも「見えていない量」の差から生まれやすいと、僕は感じています。まず書き出して、実行と段取りを分けて表にする。切り出すときは事実→気持ち→提案の順で、提案は1つだけ。そして「丸ごと渡す・外に出す・やめる」の3択で減らす。これなら、今夜からでも始められます。
完璧な分担表はありません。1ヶ月後に見直す前提で、軽く始めてみてください。






