7月の中旬、年少の息子が通う保育園から1枚のプリントが届いた。
「8月13日(水)〜8月15日(金)はお盆期間につき、ご家庭での保育にご協力をお願いいたします」
時短復職のリアルは、こういう通知をもらうたびに「今年はどうしよう」という夫婦会議が発生することだ。妻と顔を見合わせながら「またこの季節か」となる。
保育園に通う子どもがいる共働き家庭にとって、夏のお盆期間は「学童の壁」とは別の「保育園の壁」が存在する。認可保育園は法律上、学校のような夏休みはないが、お盆(8月13〜15日前後)に「家庭保育のお願い」を出す園は少なくない。加えて夏季の短縮保育やプール閉鎖で、いつもより早いお迎えが必要になるケースもある。
2年前に6ヶ月の育休を取り、現在は時短復職中の自分が実際に組んでいる「夏の空白日3層カバー術」を共有したい。
保育園のお盆期間、実態はどうなっているのか
まず前提を整理する。認可保育園は、保護者の就労を理由に家庭での保育が困難な子どもを預かる「児童福祉施設」であり、小中学校のような法定の夏休みはない。ただし、運営主体(自治体・社会福祉法人・民間など)の判断で、以下のような「休園・縮小」が発生することがある。
- お盆休園:8月13〜15日を中心に2〜5日間、登園をお断りする園
- 家庭保育のお願い:休園ではないが「できれば家庭で」と要請する園
- 短縮保育:プール閉鎖に伴い、午後の預かり時間が1〜2時間短くなるケース
わが家の保育園は「家庭保育のお願い」タイプで、技術的には預けられるが「できる方はご配慮を」というスタンスだ。実際に数えてみると、お盆3日間+夏季の短縮保育日が月4〜5日、合計で7〜8日の「いつもより段取りが必要な日」が発生する。それを毎年、行き当たりばったりで対処するのが正直しんどかった。
第1層:夫婦カレンダー会議(7月第1週日曜に開催する)
看護当番制(奇数週パパ・偶数週ママで保育園呼び出しの一次対応者を決める仕組み)を夏用に応用したのが「夏の夫婦シフト」だ。
やること:
- 7月第1週の日曜(お盆まで約6週間前)に30分確保する
- お盆3日間と、園からお知らせが来た短縮保育日を全部カレンダーに書き出す
- 夫婦それぞれの「絶対動けない日」(締め切り・大事なMTGなど)を先にマーキングする
- 残りの空白日を「パパ担当」「ママ担当」に割り振る
- 例外が出た場合は「前週日曜に交換連絡」のルールを固定する
この「先に割り振る」が大事で、毎回「今日どっちが対応する?」というLINE交渉が消える。お盆3日間を去年はどうしたかというと、妻が有給1日・自分がテレワーク1日・自分が有給1日という組み合わせで乗り切った。
上司にどう切り出したかなんですけど、7月の1on1の最後に2分使って「8月13〜15日は保育園がお盆対応のため、有給1日とテレワーク1日を使う予定です」と先に伝えておいた。これを「相談」ではなく「報告」のトーンで伝えるだけで、上司側の調整コストがゼロになる。
第2層:制度の戦略的配分(看護等休暇を夏に使い、有給は冬に温存)
共働きパパが意外と知らないのが「年次有給休暇と子の看護等休暇の使い分け戦略」だ。
2025年4月改正で「子の看護等休暇」が大幅拡充
2025年4月から改正育児・介護休業法が施行され、「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」へと名称・内容ともに改正された。主な変更点は以下の通り。
- 対象年齢の拡大:小学校3年生(9歳)修了までに引き上げ(旧:小学校就学前)
- 取得事由の追加:学級閉鎖・入学式・卒園式への参加も対象に
- 取得単位:引き続き1日・半日・時間単位での取得が可能
日数は年5日(子が2人以上の場合は10日)のまま変わらないが、半日単位で取得すれば実質10回分として活用できる。
夏に看護等休暇を消化し、有給を冬に温存する
保育園の感染症には季節パターンがある。夏(7〜8月)は手足口病・ヘルパンギーナが多く、冬(12〜2月)はインフルエンザ・ノロが猛威を振るう。
実際に育休取った身として言うと、育休前は「有給もあるし何とかなるか」と考えていたが、復職後の秋に有給が枯渇して冬に詰む、というパターンを経験した人を保育園の送迎パパから何人も聞いた。
対策はシンプルで、4〜9月の呼び出しは看護等休暇を優先消化し、有給は12〜2月の感染症ラッシュに温存するというルールを夫婦で決めておくことだ。月末5分の棚卸し(それぞれの残日数確認)も合わせて行うと、偏りが数字で見えて不満が事実ベースの会話に変わる。
第3層:外部リソース(週1スロット・月1.5万円の事前設計)
夫婦2人のシフトと制度だけでは埋まらない日は、外部リソースで補う。ここで重要なのが「使いたいと思ったときに急に使えない」という構造を理解することだ。
ファミリーサポートセンター(ファミサポ)
地域の子育て支援センターが運営する「送迎・預かり支援」事業。利用会員として登録し、提供会員(支援してくれる地域の方)とマッチングしてもらう仕組みで、マッチングには通常1〜3週間かかる。「お盆直前に使おう」と思っても間に合わない。
わが家は6月中に川崎市のファミサポに登録だけ済ませた。まだ使っていないが「いざとなれば使える」という安心感がお盆の夫婦会議のストレスを大幅に下げた。育休給付金の申請準備と同じで、「先回り登録」の発想が大事だ。
- 費用:1時間600〜900円が相場(自治体により異なる)
- 登録先:市区町村のファミリーサポートセンター(各自治体の子育て支援担当窓口)
認可保育園の一時保育
定期利用ではなく、不定期に使える「一時保育」を設けている認可園も多い。こちらも事前に利用登録が必要で、予約は早い者勝ちになりがちなため、6〜7月のうちに登録と空き確認を済ませておきたい。
外部リソースの予算設計
ファミサポ・一時保育・サマースクールなどの外部リソースは「週1スロット・月1.5万円」を上限に設計すると家計への負担が読みやすい。これを超えると毎月の固定費圧迫になるため、妻と金額の上限を事前に合意しておくことが重要だ。
3層の組み合わせ実例:2026年のお盆(8/13〜15)
| 日付 | 第1層(夫婦シフト) | 第2層(制度) | 第3層(外部) |
|---|---|---|---|
| 8/13(水) | 妻が一次対応 | 妻:有給1日 | — |
| 8/14(木) | 自分が一次対応 | 自分:テレワーク(時間ブロック制で集中確保) | — |
| 8/15(金) | 自分が一次対応 | 自分:有給1日 | — |
今年はファミサポを使わずに3日間を乗り切れたが、「いつでも使える」という準備があることで夫婦の精神的コストが大きく下がった。8月の短縮保育日(月4日)はテレワーク日(火・木)に集中させ、通勤日に負荷がかからない設計にしている。
6月中にやる「夏前の先回り3点セット」
この3層設計を機能させるために、毎年6月中に以下3点を済ませることを自分のルールにしている。
- ファミサポ登録(または既存登録の更新確認):マッチングに時間がかかるため6月中が鉄則
- 就業規則の確認:子の看護等休暇の残日数・有給残日数を人事ポータルで確認
- 1on1での上司への事前通知:「8月のお盆期間は有給+テレワーク対応の予定です」と先に報告
この3点が揃っていると、7月第1週の夫婦カレンダー会議がスムーズに終わる。逆に7月に入ってから動き始めると、ファミサポのマッチング待ち・上司への直前報告・夫婦の日程調整が同時並行になり、8月が始まる前から消耗する。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子の看護等休暇は保育園のお盆の「家庭保育のお願い」に使えますか?
子の看護等休暇の取得事由は「病気・けがの世話、予防接種・健康診断、学級閉鎖への対応、入学式・卒園式への参加」などです。お盆の「家庭保育のお願い」は取得事由に該当しないため、このケースには有給休暇を使うのが正しい使い方です。感染症による呼び出し(手足口病など)には看護等休暇が使えます。
Q2. ファミサポの費用と手続きはどうすればいいですか?
ファミリーサポートセンターは全国の市区町村が運営しています。費用は自治体によって異なりますが、1時間700〜900円が相場です。窓口またはオンラインで「利用会員」登録を行い、支援者(提供会員)とのマッチングを経て利用開始となります。マッチングに1〜3週間かかるため、余裕を持って6月中に登録を済ませることをお勧めします。
Q3. 上司への夏休み報告はいつ・どう伝えるのがベストですか?
遅くとも7月の1on1か定例MTGの場で「報告+提案」フォーマットで伝えるのがベストです。「〇月〇日に有給を取得予定です。急ぎの案件は〇〇さんに事前共有しておきます」という形で、意思・配慮・期限の3点を盛り込むと上司側の調整コストがゼロになります。「相談します」ではなく「報告します」のトーンで切り出すことが大切です。
Q4. 夫婦どちらが多く休むか、どうやって決めていますか?
月末5分の「休暇棚卸しミーティング」で互いの有給残日数・看護等休暇残日数を確認し、残日数が少ない方の翌月の当番を1回分減らす調整ルールを設けています。数字で見えることで「私ばっかり休んでる」という感情論が事実ベースの会話に変わります。
Q5. 来年息子が小学校に上がったら、40日間の夏休みはどう対処しますか?
小学生になると「40日間の夏休み」という別次元の課題が来ます。学童保育で大部分をカバーできますが、学童の開所時間(17〜18時半)と保護者の退勤時間のギャップ・学童に入れない日の空白が課題になります。今から情報収集を始め、学童の定員・開所時間の確認、民間学童の費用確認を年中・年長のうちに済ませておくのが理想です。
まとめ
保育園のお盆「家庭保育のお願い」は、毎年やってくる予測可能な課題だ。それにもかかわらず毎年直前に慌てるのは、「仕組みで先回りしていない」からだ。
- 第1層(夫婦シフト):7月第1週日曜に夫婦カレンダー会議→空白日を先決め
- 第2層(制度配分):看護等休暇を夏に消化、有給は冬の感染症シーズンに温存
- 第3層(外部リソース):6月中にファミサポ登録→週1スロット・月1.5万円以内で設計
この3層が揃っていると、お盆のプリントが届いたとき「今年もこれで回る」と思えるようになる。
参考文献
- 厚生労働省「子の看護等休暇について(2025年4月改正対応版)」
育児・介護休業法改正に伴う子の看護等休暇の内容・取得事由・対象年齢に関する公式ガイダンス - 内閣府「ファミリー・サポート・センター事業について」
全国のファミサポ運営概要・利用方法・費用相場の公式情報 - 日立ソリューションズ「子の看護等休暇とは?2025年4月法改正に伴う変更や取得条件を解説」(リシテア勤怠管理ソリューション)
2025年改正の変更点(対象年齢・取得事由・有給無給)を実務目線でまとめた解説記事






