息子がスイミングに興味を持ったのは、年少の夏が終わりかけた頃だった。
保育園のお迎えで「みんなプールやってるんだよ」と言い出したとき、正直、最初に頭をよぎったのは「送迎どうする?」だった。
17時に退勤して保育園に迎えに行って、そこからさらに習い事に送り届けて、また迎えに行って——という絵が、全然描けなかった。時短復職のリアルは、「時間がない」というよりも「どこかを削ると別のどこかが崩れる」という感じなんですよね。朝6時に起きて、息子の朝食と着替えをこなして、8時半までに保育園に送り出社し、17時に退勤してお迎え、そこから夕食・風呂・寝かしつけ。3ヶ月かけてやっと安定させたルーティンに、習い事の送迎を差し込む余地がどこにあるのか、まったくイメージが湧かなかった。
でも、息子が本当にやりたいと言っているなら、「送れないから無理」で終わらせたくない。
この記事では、時短勤務×共働き家庭が「習い事の送迎問題」に直面したとき、どう解決するかを3つのアプローチで整理する。スケジュール設計・外部リソースの活用・教室の選び方、この3軸を組み合わせると「誰が送る?」を毎週議論しない仕組みが作れる。
共働き家庭の習い事送迎問題、どこまで深刻か
まず数字から入る。習い事をしている未就学児は2025年時点で64.2%(日本経済新聞調べ)で、2021年比で約10ポイント増えている。1人あたりの月平均費用は約1万4800円。3〜5歳のあいだに約60%の子どもが習い事を始めているというデータもある。
つまり、息子が年少でスイミングに興味を持つのは、むしろ標準的なタイミングだ。問題は「通わせるかどうか」ではなく「送迎をどう回すか」にある。
共働き・時短勤務家庭が直面する送迎問題の構造は大きく3つに分かれる。
- 時間の壁: 習い事の多くは夕方17〜18時台に集中している。時短復職で17時退勤の場合、退勤直後の保育園お迎えをこなしたうえで習い事まで送り届けるのは物理的にきつい。
- 曜日の壁: 週2テレワーク日と出社日で移動時間が大きく変わる。在宅日なら送迎できるが、そのバリエーションに合う教室が限られる。
- 夫婦の壁: 「どっちが送る?」を毎週判断していると消耗する。保育園の発熱呼び出しでも同じ問題が起きた。あのとき「看護当番制」(奇数週パパ・偶数週ママ)で解決したように、ここも「仕組みで決める」しかない。
解決策①: テレワーク日を「送迎固定日」にするスケジュール設計
週2日の在宅勤務日(我が家では火・木)は、自宅から保育園まで徒歩5分のため、お迎え後の時間の使い方に柔軟性がある。この日に送迎が必要な習い事を入れると、通勤日に無理をしなくて済む。
具体的なタイムライン例を示す。
- テレワーク日(火): 17時退勤→15分でお迎え→習い事18時スタート→19時終了→帰宅
- 出社日(水): 17時退勤→電車で30分→保育園到着17時50分前後→送迎する時間的余裕なし
この差は大きい。通勤往復80分を無くせるテレワーク日を送迎固定日に設定するだけで、送迎の実現可能性がまったく変わる。
さらに、夫婦の月初カレンダー設計を習い事にも応用する。毎月1日に「今月の送迎担当週」を夫婦で決め、絶対動けない週だけ前の週の日曜に交換するルールにする。これで「今週誰が行く?」の当日交渉がゼロになる。
上司にどう切り出したかなんですけど、育休を申し出たときと同じ「報告+提案」フォーマットが夫婦の役割分担調整にも使える。「火曜は自分が送迎固定にします。テレワーク日を充てるから業務調整も可能」と先に宣言しておくと、妻側も計画が立てやすい。曖昧なまま「一緒に考えようよ」にすると毎回擦り合わせが発生するので、先に決めてしまうのが正解だ。
解決策②: ファミサポを先回り登録して「例外対応」に備える
スケジュール設計で「送迎できる枠」を作っても、テレワーク日が急に出社に変わったり、子どもが体調不良だったりと、例外は必ず発生する。そのとき「どうしよう」にならないために、外部リソースを事前に登録しておく。
実際に育休取った身として言うと、制度は「使いたいときに急に使うもの」ではなく、「使うかもしれないから先に準備しておくもの」なんですよね。育休給付金の計算も、復職面談の準備も、全部「先回り設計」で乗り越えてきた。ファミサポの登録も同じ発想で動くのがコツだ。
ファミリーサポートセンターの活用
各自治体が運営するファミリーサポートセンター(ファミサポ)は、習い事や保育園への送迎に対応している。料金は自治体・時間帯によって異なるが、1時間600〜900円程度が目安だ。川崎市の場合は「ふれあい子育てサポート事業」として中原区など各区のセンターで対応している。
ただし、登録してからマッチング(提供会員との引き合わせ)までに1〜3週間かかることが多い。「習い事が始まった、今すぐ使いたい」では間に合わない。習い事を検討し始めた時点で登録だけしておくのがポイントだ。
民間シッターサービスのスポット活用
キッズライン、キズナシッターなど民間サービスは費用が1時間1500〜4000円程度と高めだが、急な変更にも対応しやすい。月に1〜2回の「例外対応」として使うと割り切れば、月3000〜8000円の追加コストで済む。
最初は「外注するのはどうか」と思ったが、バタバタした状態で無理やり送迎して子どもを不安にさせるよりも、プロに頼んで親子ともにストレスを下げる方が合理的だと気づいた。夏前に職場への根回しでSlackテンプレートを変えたときと同じで、「謝りながらこなす」より「仕組みで解決する」方が長期的に楽だ。
解決策③: 「送迎の負担が最小化できる教室」を先に選ぶ
そもそも送迎の構造を変えられる教室選びが、最も根本的な解決策だ。
バス送迎付きのスイミングスクールを優先する
多くのスイミングスクールはバス送迎を運行している。保育園のお迎え後に自宅近くのバス停で乗せるだけなら、送迎問題がほぼ解消する。息子の場合も、複数のスクールのバスルートを調べたところ、自宅から徒歩3分のバス停がカバーされていた。これだけで選択肢が一気に広がった。
自宅・保育園から徒歩10分圏内を条件にする
距離が縮まれば送迎の所要時間が減り、タイムラインに余白が生まれる。武蔵小杉エリアは習い事の選択肢が比較的多く、徒歩圏内で見つかることも多い。「近場優先」を最初の条件にすることで、候補を絞り込みやすくなる。
オンライン教室という選択肢
英語・プログラミング・音楽など送迎不要で受講できる習い事は、共働き家庭との相性が高い。スイミングやサッカーのように体を動かす種目は代替が難しいが、認知系・語学系の習い事はオンラインで十分なクオリティが出せる時代になっている。種目によって「対面必須か、オンラインでいいか」を判断するとよい。
「送迎問題」の本質は判断コストをゼロにすること
保育園の発熱呼び出しを看護当番制で解決したとき、気づいたことがある。「どっちが行く?」「今週は私が3回休んだ」という消耗の正体は、毎回判断していることだ。仕組みにすれば感情の消耗を最小化できる。
習い事の送迎も同じ構図だ。月初に送迎担当週を決める・テレワーク日を送迎固定日にする・ファミサポを先回り登録する・バス送迎付きスクールを優先する、この4点を組み合わせれば「誰が送る?」を毎週議論しない仕組みができあがる。
息子は今、スイミングを始めて2ヶ月が経った。送迎はほぼバス利用で、月1回だけ土曜日の午前中に自分が付き添いで行く。それが今のわが家の形で、ルーティンを崩さずに回っている。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 時短勤務中でも子どもに習い事をさせていい?
- 法的にも家庭の判断としても問題ありません。送迎の仕組みを先に設計すれば、時短勤務でも習い事を無理なく続けられます。バス送迎付き・土曜午前の教室など、負担を最小化できる選び方が重要です。
- Q2. ファミリーサポートはいつから使える?
- 登録してから実際に利用できるまで、マッチングに1〜3週間かかる場合があります。「使いたい当日から」では間に合わないため、習い事を検討し始めた段階で先に登録しておくことをおすすめします。
- Q3. テレワーク日を送迎固定日にすると上司への説明が必要?
- テレワーク日の業務内容を変える必要はありませんが、「火曜は保育園のお迎え後に習い事の送迎が発生する可能性がある」と上司に伝えておくと安心です。制約を先に明示すると、上司側も調整しやすくなります。
- Q4. 夫婦で「誰が送る?」を毎週話し合わないための方法は?
- 月初に送迎担当週(奇数週パパ・偶数週ママなど)を決めてしまい、絶対動けない日だけ前週日曜に交換するルールにすると、判断コストがゼロになります。保育園の看護当番制と同じ仕組みが習い事にもそのまま使えます。
- Q5. 子どもの習い事の数はいくつが共働き家庭に適切?
- 2025年の調査によると子ども1人あたりの習い事数の平均は1.53です。共働きの場合は「送迎の仕組みが無理なく回せる数」を上限と考えるのが現実的です。まず1つで仕組みを作り、安定したら増やす段階設計がおすすめです。
参考文献
- 日本経済新聞「習い事する未就学児64%、平均月謝は1万4847円 民間調査」(2026年8月)
- 放課後NPOアフタースクール「小学生の放課後の過ごし方調査 2025」(2025年3月)
- 川崎市「ふれあい子育てサポート事業(ファミリー・サポート・センター事業)」川崎市公式ウェブサイト
- Fanss株式会社「習い事の送迎がツラい‥ストレスの種や解決策を全国522人の保護者に調査」プレスリリース(2023年)






