「時短で17時に帰ってるけど、在宅勤務もできたらもっとラクになるのでは?」──そう思ったことはありませんか。
実際に育休取った身として言うと、時短勤務だけでは解決しきれない問題がいくつもありました。保育園の急な呼び出し、朝の送り出しバタバタ、そして通勤時間という「何も生まない移動」。時短で勤務時間を短くしても、往復の通勤で1時間以上が消えるのは地味にキツいんです。
僕は半年の育休を経て時短復職し、そこから約半年後に「週2日テレワーク×時短勤務」というハイブリッド勤務を上司に提案して認めてもらいました。この記事では、テレワークと時短勤務の併用が法的に可能な根拠、実際の1週間のタイムライン、そして上司への提案方法を、当事者目線で整理します。
テレワークと時短勤務の併用は「法的にOK」──2025年改正法で何が変わったか
まず大前提として、テレワーク(在宅勤務)と時短勤務の併用を禁止する法律はありません。就業規則で両方の制度が用意されていれば、会社との合意のもと併用することが可能です。
さらに2025年の改正育児・介護休業法で、テレワークの位置づけが大きく前進しました。
2025年4月施行:3歳未満の子を持つ労働者への措置
- テレワーク導入が事業主の努力義務に:3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主に努力義務が課されました
- 時短勤務の代替措置にテレワークが追加:業務の性質上、短時間勤務が困難な場合の代替措置として、これまでのフレックスタイム制や始業時刻変更に加え、テレワークが正式に選択肢に入りました
2025年10月施行:3歳以上〜小学校就学前の柔軟措置義務
3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対して、企業は以下の5つから2つ以上を導入する義務を負います。
- 始業時刻等の変更(フレックスタイム制・時差出勤)
- テレワーク等(月10日以上、原則時間単位で利用可能)
- 保育施設の設置運営等(ベビーシッター費用補助を含む)
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度
つまり、3歳以降は法律上の時短勤務義務がなくなる一方で、テレワークを含む柔軟措置が企業に義務化されたのです。「時短が終わったらどうしよう」と不安な方にとって、テレワークは有力な選択肢になります。
僕がテレワーク×時短を上司に提案するまでの経緯
時短復職して半年ほど経った頃、朝のルーティンは安定してきたものの、新たな課題が見えてきました。
通勤時間が「もったいない」問題
僕は川崎市・武蔵小杉から都内のオフィスまで片道40分ほどかけて通勤しています。時短で6時間勤務なのに、往復80分の通勤時間が加わると、家を出てから帰宅するまで約8時間。フルタイムの人とそこまで変わらない拘束時間になっていました。
朝6時に起きて息子の朝食を作り、8時半までに保育園に送り、そこから出社。17時に退勤してお迎えに行き、夜の家事をこなす──このサイクルの中で、通勤時間だけが「何も生まない時間」だったんです。
保育園からの急な呼び出し対応
うちは妻と奇数週・偶数週の看護当番制を敷いているのですが、自分の当番週にオフィスにいると、保育園から電話が来てからお迎えまで最短でも1時間かかる。在宅なら15分で保育園に着けます。この差は大きい。
2025年改正法の柔軟措置を人事に確認しに行った
上司にどう切り出したかなんですけど、まず人事部門に「うちの会社は改正法の柔軟措置、どれを導入したんですか?」と聞きに行きました。就業規則の最新版も取り寄せて、育児関連規定の改定箇所を読み込んだ。その結果、自社がフレックスタイム制度とテレワーク制度を導入済みであることを確認できました。
制度が存在すると分かれば、あとは「使わせてください」と切り出すだけ。制度改正は待っていても誰も教えてくれません。自分から人事に聞きに行くのが最速です。
上司への提案3ステップ──「意思+配慮+期限」で切り出す
テレワーク×時短の併用を上司に提案する際、僕が実践した3ステップを紹介します。
ステップ1:制度の存在と法的根拠を確認する
提案の前に、以下の3点を押さえておきます。
- 自社の就業規則にテレワーク制度の規定があるか
- 育児・介護休業法の改正内容で自分が対象になる措置はどれか
- テレワーク時の労働時間管理のルール(勤怠報告の方法など)
「法律でこう変わったので」ではなく、「うちの会社の制度としてこれが使えるはずなので」という切り口のほうが、上司は受け入れやすいです。
ステップ2:業務への影響と対策をA4一枚にまとめる
育休を取るときもそうでしたが、上司への提案は「相談」ではなく「報告+提案」のフォーマットが有効です。僕はA4一枚に以下をまとめて1on1に持参しました。
- テレワーク希望日:週2日(火・木)
- 出社日の業務:対面MTG・チーム定例・顧客訪問を集中配置
- テレワーク日の業務:資料作成・メール対応・個別のオンラインMTG
- 連絡手段:Slack常時オンライン、緊急時は電話
- 試行期間:まず3ヶ月、成果を見て継続判断
ポイントは「試行期間」を自分から設定すること。「ずっとやらせてください」より「3ヶ月試させてください」のほうが、上司は判断しやすい。意思+配慮+期限の3点セットです。
ステップ3:チームへの影響を最小化する運用ルールを提示する
テレワーク導入で一番心配されるのは「チームとのコミュニケーションが減るのでは?」という点です。僕は以下のルールを先に明示しました。
- テレワーク日の朝9時にSlackで「本日の作業予定」を共有
- 退勤前に「本日の成果」を3行で報告
- 週1回の対面1on1は出社日に固定
- 急な対面MTGが入った場合は柔軟に出社日を変更
制約を先に明示すると、上司は「この範囲で調整すればいいんだな」と判断しやすくなります。復職面談で「17時以降のMTG不可」と明示したときと同じ原理です。
テレワーク×時短の1週間タイムライン(実例)
実際に週2日テレワークを導入した後の、僕の1週間のスケジュールを公開します。
出社日(月・水・金)
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 6:00 | 起床、息子の朝食準備 |
| 7:00 | 朝食・身支度 |
| 8:15 | 保育園送り |
| 9:00 | 出社・業務開始 |
| 16:00 | 退勤(6時間勤務) |
| 16:40 | 保育園お迎え |
| 17:00〜 | 帰宅・夕食・家事・息子と遊ぶ |
テレワーク日(火・木)
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 6:00 | 起床、息子の朝食準備 |
| 7:00 | 朝食・身支度 |
| 8:15 | 保育園送り |
| 8:30 | 帰宅・業務開始(通勤なし) |
| 14:30 | 業務終了(6時間勤務) |
| 14:30〜16:00 | 家事・夕食の仕込み・自分の時間 |
| 16:00 | 保育園お迎え |
| 16:30〜 | 帰宅・息子と公園・夕食 |
テレワーク日は通勤の往復80分がゼロになるため、業務終了が14:30。お迎えまでの1.5時間で夕食の仕込みや掃除ができるようになりました。出社日は夜に集中していた家事を、テレワーク日の午後に分散できる。この「家事の曜日分散」が精神的にも体力的にもかなり効きます。
テレワーク×時短を3ヶ月やってみて分かった3つのメリット
1. 保育園の急な呼び出しへの対応速度が上がった
テレワーク日に保育園から発熱の電話が来たとき、15分でお迎えに行けました。オフィスからだと1時間はかかるので、子どもにとっても親にとっても負担が全然違う。看護当番制と組み合わせると、当番週のテレワーク日を増やすという柔軟な運用もできます。
2. 「通勤していた時間」で家事ができる
往復80分の通勤時間がなくなると、その分を家事や食事の準備に充てられます。以前は妻に偏っていた「平日の夕食準備」を週2回は自分が担当できるようになり、名もなき家事の分担バランスが改善しました。
3. 業務の集中度が上がった
意外かもしれませんが、テレワーク日のほうが業務の集中度は高いです。オフィスでは「ちょっといい?」の声かけで作業が中断されることが多いのですが、在宅なら資料作成や企画書の執筆に集中して取り組める。6時間しかない時短勤務だからこそ、集中できる環境の価値は大きい。
注意点:テレワーク×時短で気をつけるべき3つのこと
1. 「在宅だからもう少し働ける」と思われるリスク
テレワーク日は退勤時刻が見えにくいため、「在宅なんだからもう少し対応できるよね?」と暗黙の期待をかけられることがあります。勤務時間は時短の6時間であることを、Slackのステータスやカレンダーで明示しておくことが重要です。
2. 情報格差の発生
出社日が減ると、オフィスでの雑談や廊下での立ち話から得られる情報が減ります。僕は月1回の飲み会に90分だけ参加する「戦略的つきあい」ルールを続けつつ、テレワーク日の朝にSlackで積極的に発信することで情報格差を補っています。
3. 社会保険料・給与への影響は「なし」
テレワークはあくまで「勤務場所の変更」であり、労働時間が変わるわけではないため、時短勤務の社会保険料や給与計算には影響しません。養育期間特例や育児時短就業給付金(2歳未満対象)の適用条件にも影響しないので、安心して導入できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. テレワークと時短勤務の併用を会社が認めてくれない場合は?
A. まず就業規則を確認してください。テレワーク制度が規定されていれば、育児を理由とした利用を拒否する合理的な理由は限られます。2025年4月以降、3歳未満の子を養育する労働者へのテレワーク導入は事業主の努力義務です。人事部門に改正法の内容を踏まえて相談することをおすすめします。
Q2. テレワーク日に子どもが家にいても大丈夫?
A. 「テレワーク=自宅で育児しながら働く」ではありません。保育園に預けた状態で在宅勤務するのが原則です。テレワーク日でも保育園の利用は継続できます。自治体によっては「就労証明書」にテレワークの記載が必要な場合があるので、事前に確認しておきましょう。
Q3. テレワーク日の労働時間管理はどうする?
A. 多くの企業ではPCのログイン・ログアウト時刻、勤怠管理システムへの打刻、またはSlackでの業務開始・終了報告で管理しています。時短勤務の場合は特に、始業・終業時刻を明確にして「ダラダラ残業」を防ぐことが大切です。
Q4. 3歳以降に時短勤務が終了した後、テレワークだけで対応できる?
A. 2025年10月施行の改正法により、3歳以上〜小学校就学前の子を養育する労働者に対して、企業はテレワークを含む柔軟措置のうち2つ以上を導入する義務があります。時短勤務が終了してもテレワークを継続できる可能性は高まっています。自社がどの措置を導入したか、人事に確認してみてください。
Q5. テレワーク×時短は人事評価に影響する?
A. 法律上、テレワークや時短勤務を理由とした不利益取扱いは禁止されています。ただし「見えないと評価されにくい」のは現実。僕は1on1で必ず「次の四半期で関わりたい案件」を1つ挙げるようにしています。制約の明示と機会の獲得はセットで行うべきです。
まとめ:テレワーク×時短は「制度がある=使える」ではなく「設計して勝ち取る」
テレワークと時短勤務の併用は法的に可能であり、2025年の改正法でその基盤はさらに強化されました。しかし、制度があっても自動的に適用されるわけではありません。
大事なのは、(1)自社の制度を自分で確認しに行く、(2)業務への影響と対策をセットで提案する、(3)試行期間を設けて上司が判断しやすい形にする、という3ステップ。育休を取るときも、時短を始めるときも、僕がやってきたのは同じアプローチです。
時短のリアルは、制度を「使う」だけでは完結しない。自分と家族に合った働き方を「設計する」ところから始まります。その設計図の一つとして、テレワーク×時短のハイブリッド勤務をぜひ検討してみてください。






