保育園に通い始めた息子が、入園2週間で初めての発熱。保育園から電話が来た瞬間、「え、もう?」と思った記憶があります。
実際に育休取った身として言うと、復職前に一番甘く見ていたのは「子どもの体調不良で何日休むことになるか」という見積もりでした。育休中は24時間一緒にいるから発熱にも即対応できる。でも復職したら、保育園からの1本の電話が「今日の仕事、全部キャンセル」を意味します。
この記事では、保育園の呼び出し回数のリアルなデータと、2025年4月に改正された「子の看護等休暇」の変更点を整理したうえで、有給と看護等休暇を戦略的に使い分ける年間休暇設計の3ステップをお伝えします。
保育園1年目、子どもは年に何日休むのか
復職してまず驚くのが、保育園からの呼び出し頻度です。
保育園の病欠日数に関する調査では、0歳児クラスで年間平均19.3日、1歳児クラスで年間平均12.8日という数字が報告されています。単純計算で月1〜2日は「子ども都合の休み」が発生する計算です。
僕の場合、息子が1歳クラスに入った年は年間で15日ほど子どもの体調不良で休みました。内訳はこんな感じです。
- 発熱による呼び出し・翌日以降の看病:10日
- 感染症(手足口病・RSウイルス等)での出席停止:3日
- 予防接種・健診での半休:2日
朝6時に起きて息子の朝食を作り、保育園に送ってから出社する毎日。そのルーティンが子どもの「今朝37.8度あります」の一言で崩壊します。特に4月〜7月と11月〜1月は感染症の波が来やすく、入園直後と冬場に集中する傾向があります。
有給休暇だけでは足りない構造的理由
育休から復職した年の有給休暇がどれくらいあるか、正確に把握していますか?
労働基準法では、入社6ヶ月経過後に10日の有給が付与され、以降は勤続年数に応じて増えます。ただし、育休期間も勤続年数にはカウントされるため、育休前の勤続年数が長ければ付与日数自体は維持されます。
問題は、復職後の有給の使い道が子どもの体調不良「だけ」ではないことです。
- 自分自身の体調不良(保育園の洗礼で親も風邪をもらう)
- 保育園の行事(親子遠足・保育参加・個人面談)
- 役所の手続き(児童手当の現況届等)
- リフレッシュ休暇(これを削ると夫婦ともにメンタルが持たない)
年間15〜20日の有給があっても、子どもの体調不良だけで10日以上使えば、秋頃には残日数が片手で数えられる状態になります。時短復職のリアルは、「有給を何に優先配分するか」の意思決定の連続なんです。
2025年4月改正「子の看護等休暇」で何が変わったか
2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法で、従来の「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に名称変更され、制度が大幅に拡充されました。主な変更点を整理します。
変更点1:対象年齢の拡大
改正前は「小学校就学前まで」でしたが、改正後は「小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)」に引き上げられました。保育園児だけでなく、小学校低学年の子どもの看護にも使えるようになったのは大きな変化です。
変更点2:取得事由の追加
従来は「病気・けが」と「予防接種・健康診断」のみだった取得事由に、以下が追加されました。
- 感染症による学級閉鎖(学校保健安全法に基づく臨時休業・出席停止)
- 入園式・入学式・卒園式への参加など、子の行事への出席
変更点3:除外規定の廃止
改正前は労使協定によって「勤続6ヶ月未満の労働者」を対象外にできましたが、この除外規定が廃止されました。育休から復職した直後でも取得できることが明確になっています。
日数は変わらない点に注意
取得可能日数は改正前と同じく、子が1人なら年5日、2人以上なら年10日です。半日単位での取得も可能です。ただし、法律上は無給が原則で、有給にするかどうかは会社の規定次第です。ここは必ず就業規則を確認してください。
年間休暇設計の3ステップ
有給と看護等休暇を「なんとなく使う」のではなく、年間で戦略的に配分する方法を3ステップでお伝えします。
ステップ1:年間の「休みリスク」を月別にマッピングする
まず、1年間で子どもの体調不良や行事で休む可能性がある日を月別に洗い出します。
| 月 | 主なリスク | 想定日数 |
|---|---|---|
| 4月 | 入園・進級直後の感染症ラッシュ | 2〜3日 |
| 5月 | GW明けの体調崩し、保育参加 | 1〜2日 |
| 6月 | 手足口病・ヘルパンギーナ流行期 | 1〜2日 |
| 7月 | 夏風邪・RSウイルス | 1〜2日 |
| 8〜9月 | 比較的落ち着く時期 | 0〜1日 |
| 10月 | 運動会、秋の感染症 | 1日 |
| 11〜12月 | インフルエンザ・ノロウイルス | 2〜3日 |
| 1〜3月 | 冬の感染症残り、年度末行事 | 2〜3日 |
年間トータルで12〜18日程度の「子ども都合の休み」を見込んでおくのが現実的です。この数字を夫婦で共有するだけで、「思ったより多いね」と認識が揃います。
ステップ2:有給・看護等休暇・半休を戦略的に振り分ける
年間の休みリスクが見えたら、どの休暇制度をいつ使うかを事前に決めます。僕が実践している振り分けルールはこうです。
【看護等休暇を先に使い切る】
- 子どもの発熱・感染症・予防接種 → まず子の看護等休暇(年5日)を充てる
- 半日で済む呼び出し(午後の発熱→お迎え) → 半日単位で看護等休暇を使い、0.5日消化に抑える
- 看護等休暇を使い切ったら → 有給に切り替え
【有給は「看護等休暇で対応できない用途」に温存する】
- 親自身の体調不良
- 保育園行事(親子遠足・保育参加 → 看護等休暇の対象外)
- 家族のリフレッシュ(土曜の朝サウナだけじゃ足りない月もある)
僕と妻で子どもが1人なので看護等休暇は夫婦それぞれ年5日ずつ、合計10日分あります。これに有給を加えれば、年間15日以上の休みリスクにも対応できる計算になります。
ステップ3:夫婦で月1回「休暇残日数」を共有する
うちでは子どもの発熱時に「奇数週はパパ、偶数週はママ」の看護当番制を敷いています。この仕組みのおかげで「どっちが休む?」の判断コストはゼロになりました。
ただ、当番制だけでは足りないのが「どちらの休暇残日数が少ないか」の把握です。月末に夫婦で5分だけ時間を取り、以下を確認しています。
- 今月の看護等休暇の消化日数(パパ・ママそれぞれ)
- 今月の有給消化日数
- 来月以降の「使う予定がある休み」(行事・健診等)
- 残日数が少ない方の翌月の当番を減らすかどうか
この月1回の棚卸しを始めてから、「私ばっかり休んでる」「俺の有給もうないんだけど」という不満が消えました。休暇も家事分担と同じで、数字で見える化すると感情論ではなく事実ベースの会話になるんです。
会社の制度を「自分から」確認しに行く重要性
子の看護等休暇が有給か無給かは会社の裁量です。また、会社独自の「育児サポート休暇」や「ファミリーサポート休暇」のような上乗せ制度を設けているケースもあります。
上司にどう切り出したかなんですけど、僕の場合は復職面談のときに「子の看護等休暇の運用ルールを確認したい」と人事に直接聞きに行きました。就業規則の育児関連規定を取り寄せて読み込んだら、うちの会社では看護等休暇が有給扱いだと判明。これを知っているかどうかで、年間の手取りに数万円の差が出ます。
制度改正は待っていても誰も教えてくれません。2025年4月の改正内容を知らないまま、有給だけで乗り切ろうとしているパパは少なくないはずです。
看護等休暇を取得するときの職場への伝え方
看護等休暇は「権利」ですが、職場で円滑に取得するにはちょっとした伝え方の工夫が要ります。僕が実践しているのは以下の3つです。
- 朝イチのSlack連絡:「子の発熱のため本日は子の看護等休暇を取得します。◯◯の件は△△さんに引き継ぎ済みです」と、休暇の種類と業務カバーをセットで伝える
- 翌日のフォロー:出社したらまず「昨日はありがとうございました」とチームに一言。謝罪ではなく感謝を伝える
- 月初の事前共有:「今月は予防接種で◯日に半休を取ります」と、予定が決まっている分は先に共有しておく
制約を先に明示すると、上司もチームも調整しやすくなります。これは時短勤務の「17時退勤」を明示するのと同じ考え方です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子の看護等休暇は父親も取れますか?
はい、父親も母親も取得できます。性別による制限はありません。子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を、父母それぞれが取得可能です。
Q2. 看護等休暇は有給ですか?無給ですか?
法律上は無給が原則ですが、有給とするかどうかは会社の就業規則によります。必ず自社の規定を確認してください。有給の場合と無給の場合で年間の手取りに大きな差が出るため、復職前に人事へ確認することをおすすめします。
Q3. 看護等休暇と有給休暇、どちらを先に使うべきですか?
一般的には、子の看護等休暇が無給の会社なら有給を先に使う方が手取り面で有利です。看護等休暇が有給扱いの会社なら、看護等休暇を先に消化して有給を他の用途に温存する方が年間の休暇マネジメントとして効率的です。
Q4. 保育園の行事(運動会・遠足)でも看護等休暇は使えますか?
2025年改正で入園式・入学式・卒園式への参加が取得事由に追加されましたが、運動会や遠足は対象外です。これらの行事には有給休暇を使う必要があります。
Q5. 子どもが2人いる場合、看護等休暇は年10日を2人で分けるのですか?
いいえ。子が2人以上の場合は「1人の労働者あたり年10日」が上限です。どちらの子の看護に使っても構いません。ただし、父と母それぞれが年10日ずつ取得できるため、夫婦合計では年20日分の枠があります。
まとめ
育休から復職した年は、保育園の呼び出しで想像以上に休みを消費します。有給だけで乗り切ろうとすると秋には残日数がゼロに近づき、冬の感染症シーズンを無防備で迎えることになります。
2025年4月の改正で「子の看護等休暇」は対象年齢・取得事由ともに拡充されました。この制度を知り、有給と戦略的に使い分けることで、年間の休暇をバランスよく配分できます。夫婦で月1回の残日数チェックを加えれば、「どっちが休む」の不満も数字で解消できるはずです。
制度は使わなければ意味がありません。まずは自社の就業規則で子の看護等休暇の扱いを確認するところから始めてみてください。






