「時短勤務って、子どもが3歳になったら終わりなの?」

実際に育休取った身として言うと、この不安は復職した瞬間から頭の片隅にずっとあります。僕自身、息子が年少になった今、まさにこの問題と向き合っている最中です。

結論から言うと、法律上の時短勤務義務は「3歳未満」までですが、2025年4月・10月の育児介護休業法改正で、3歳以降の選択肢が大きく広がりました。さらに、会社独自に小学校卒業まで時短を認めているケースもあります。

この記事では、改正法のポイントを整理したうえで、「自分の会社では何が使えるのか」を確認する方法と、上司への切り出し方まで、当事者目線でまとめます。

法律上の時短勤務は「3歳未満」が企業の義務

まず前提を整理します。育児・介護休業法では、企業が短時間勤務制度(1日6時間勤務)を設けることを義務付けている対象は、「3歳に満たない子を養育する労働者」です(育児・介護休業法第23条)。

つまり、子どもの3歳の誕生日の前日までが法律上の「義務」期間。3歳を過ぎた瞬間、法律上は企業に時短勤務を用意する義務がなくなります。

ただし、これはあくまで「最低ライン」の話。厚生労働省の調査によると、企業の約32%が「3歳まで」としている一方、「小学校入学まで」「小学校3年生まで」「小学校卒業まで」と独自に延長している企業も少なくありません。

2025年4月改正で変わった3つのこと

2025年4月に施行された育児介護休業法の改正で、以下の3点が変わりました。

1. 残業免除の対象が「小学校入学前」まで拡大

改正前は「3歳未満の子を養育する労働者」だけが所定外労働(残業)の免除を請求できましたが、改正後は「小学校就学前の子を養育する労働者」まで対象が広がりました。

時短勤務が終わっても、残業免除は使える。これだけで保育園のお迎えに間に合う可能性はぐっと上がります。

2. 3歳未満の子がいる場合のテレワークが努力義務に

3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることが、企業の努力義務になりました。法的拘束力はありませんが、「テレワークを検討してほしい」と会社に伝える根拠にはなります。

3. 育児時短就業給付金の創設(2歳未満が対象)

2025年4月から、2歳未満の子を養育するために時短勤務をして賃金が下がった場合、時短勤務中の賃金の10%が雇用保険から支給される「育児時短就業給付金」が新設されました。

たとえば時短勤務中の月給が25万円なら、月2.5万円が上乗せされる計算です。申請は原則として会社がハローワークに行いますが、制度を知らない人事担当者もいるので、自分から確認するのが確実です。

注意点として、対象は「2歳未満」まで。3歳以降は対象外です。育休から復職してすぐの時期に手取りを補填する制度として活用しましょう。

2025年10月改正:3歳以降の「5つの選択肢」が義務化

さらに大きいのが、2025年10月施行の改正です。

企業は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、以下の5つの措置のうち2つ以上を制度として用意することが義務付けられました。

選択肢内容
1. 始業時刻等の変更フレックスタイム制度または時差出勤制度
2. テレワーク月10日以上利用可能
3. 保育施設等事業所内保育施設の設置運営、ベビーシッター費用負担など
4. 養育両立支援休暇年10日以上の新たな休暇付与
5. 短時間勤務制度1日の所定労働時間を原則6時間とする

労働者は、会社が用意した2つ以上の措置のうち1つを選んで利用できます。

上司にどう切り出したかなんですけど、僕の場合はまず人事に「うちの会社はこの5つのうちどれを導入したんですか?」と聞くところから始めました。就業規則に追記されているはずなので、まずは規則の最新版を確認するのが第一歩です。

「うちの会社では何が使える?」を確認する3ステップ

法改正の内容はわかった。でも、「自分の会社で実際に何が使えるのか」がわからないと意味がありません。以下の3ステップで確認しましょう。

ステップ1:就業規則の育児関連規定を読む

2025年10月の法改正に対応して、就業規則や育児介護休業規程が改定されているはずです。社内ポータルやイントラネットで最新版を確認してください。「柔軟な働き方を実現するための措置」や「育児短時間勤務」のセクションを探します。

ステップ2:人事・労務に直接聞く

就業規則を読んでもわかりにくい場合は、人事部門に直接確認するのが確実です。聞くポイントは以下の3つ。

  • 時短勤務は何歳まで利用できるか(法定の3歳か、独自延長か)
  • 3歳以降の柔軟措置として何を導入したか(5つのうちどれか)
  • 育児時短就業給付金の申請手続きは会社が行ってくれるか

ステップ3:上司に「制約」と「希望」をセットで伝える

時短復職のリアルは、制度を知っているだけでは解決しません。自分の制約と、それでも貢献したい意思を上司に伝えることが重要です。

僕は復職面談で「17時以降のMTGには参加できません」と先に明示しました。曖昧にすると「この会議だけ…」が積み重なるリスクがあったからです。結果、上司から「16時までに相談があれば遠慮なく声かけて」と協力的な反応をもらえました。制約を先に出すことで、上司側が調整しやすい環境を作れたんです。

時短が終わった後の「手取り減」にどう備えるか

時短勤務からフルタイムに戻ると収入は増えますが、逆に時短を続ける場合は手取りが下がったままです。また、3歳以降は育児時短就業給付金も対象外になります。

家計への影響を最小限にするために、以下の点を押さえておきましょう。

  • 社会保険料の特例:「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を申請すると、時短で給与が下がっても将来の年金額はフルタイム時代の標準報酬月額で計算されます。会社経由で年金事務所に届出が必要です
  • 児童手当の活用:2024年の制度改正で所得制限が撤廃され、高校生年代まで支給対象が拡大しました。受け取った手当を生活費に充てるか、こどもNISA(2027年創設予定)で運用するかは家庭の状況次第です
  • 住民税への影響:時短で年収が下がると翌年の住民税も下がります。ただし住宅ローン控除を受けている場合、控除しきれない額が増える可能性があるので注意が必要です

よくある質問(FAQ)

Q1. パートや契約社員でも時短勤務は使えますか?
はい、雇用形態に関係なく利用できます。ただし、「日々雇用される労働者」は除外されます。また、入社1年未満の労働者等について、労使協定で対象外とすることが認められている場合があります。自社の就業規則を確認してください。
Q2. 時短勤務中の給与はどのくらい下がりますか?
一般的に、8時間から6時間の時短で基本給は約25%減少します(ノーワーク・ノーペイの原則)。ただし、2歳未満の子がいる場合は育児時短就業給付金(賃金の10%)が雇用保険から支給されるため、実質的な減少幅は緩和されます。
Q3. 夫婦同時に時短勤務を取ることはできますか?
法律上、夫婦同時に時短勤務を取ることに制限はありません。ただし、会社の就業規則で「配偶者が短時間勤務をしている場合は対象外」とする規定が設けられているケースもあるため、事前に確認が必要です。
Q4. 3歳以降の柔軟措置は、いつまでに会社に申し出ればいいですか?
利用開始の1ヶ月前までに申し出るのが基本です。会社によって申出期限が異なる場合があるので、早めに人事に確認しましょう。子どもが3歳になる半年前くらいから準備を始めるのがおすすめです。
Q5. 会社が柔軟措置を導入していない場合はどうすればいいですか?
2025年10月以降、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟措置は企業の法的義務です。未導入の場合は、まず人事に確認し、それでも対応されない場合は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

まとめ:制度は「知っている人」だけが使える

朝6時に起きて息子の朝食を作り、8時半までに保育園に送り、出社して17時に退勤してお迎えに行く。この生活を回しながら、制度の改正内容を調べる余裕がある親はそう多くありません。

だからこそ、この記事で押さえてほしいポイントは3つだけです。

  1. 法律上の時短義務は3歳までだが、2025年10月から3歳以降も5つの柔軟措置が義務化された
  2. 育児時短就業給付金(2歳未満・賃金の10%)は会社経由で申請する。知らないともらえない
  3. 就業規則の確認→人事への問い合わせ→上司への制約の明示、この3ステップを子が3歳になる前に済ませる

制度は「存在する」だけでは意味がなくて、「使う」と決めて動いた人だけが恩恵を受けられます。同じ時短パパとして、まずは自社の就業規則を開くところから始めてみてください。

参考文献