「時短にしたら手取りはどれくらい減るんだろう?」──これは僕が育休から復職する前、妻と夜な夜な電卓を叩いていた最大の不安でした。

実際に育休取った身として言うと、ネット上には「基本給の25%減」という情報ばかりで、社会保険料や賞与まで含めた"本当の手取り"を出している記事はほとんどありませんでした。復職してから「思ったより減った…」と焦るのは避けたい。そこでこの記事では、僕自身が復職前にやった手取りシミュレーションの方法と、手取りを守るために活用した3つの制度をまとめます。

時短勤務の給与計算──基本の仕組み

時短勤務の給与は、原則として「フルタイム基本給 ×(時短勤務時間 ÷ 所定労働時間)」で計算されます。ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働かない時間分が減額される形です。

たとえばフルタイム8時間・月給30万円の人が6時間勤務にすると、基本給は30万円 ×(6÷8)= 22.5万円に。これだけ見ると25%減ですが、実際の手取り減少幅はもう少し複雑です。

年収500万円・6時間勤務モデルで試算してみた

僕のケースに近い条件で、フルタイムと時短のリアルな年収差を出してみます。

【前提条件】

  • フルタイム月給:33.3万円(年収ベース約500万円、賞与年2回・計3ヶ月分)
  • 時短勤務:6時間/日(所定8時間の75%)
  • 扶養:配偶者あり・子1人(年少)
  • 勤務地:神奈川県川崎市

【月収の比較】

項目フルタイム6時間時短
基本給333,000円249,750円
健康保険料(本人負担)約16,400円約12,300円
厚生年金保険料(本人負担)約30,500円約22,900円
雇用保険料約2,000円約1,500円
所得税(源泉)約8,600円約5,200円
住民税約17,500円約17,500円
手取り(概算)約258,000円約190,350円

基本給は25%減でも、手取りベースでは約26%減になります。なお住民税は前年所得ベースのため、時短1年目はフルタイム時代の金額がそのまま天引きされる点が盲点です。時短復職のリアルは、1年目が最もきつく、2年目から住民税が下がって少しラクになるという構造です。

【賞与への影響】

賞与も時短比率で計算する会社がほとんどです。フルタイムで年間約100万円(月給×3ヶ月)の賞与が75%になると約75万円。年間で賞与だけで約25万円の減収です。

合算すると、年収ベースでは約500万円 → 約370万円(約130万円減、約26%減)。これが時短勤務のリアルな数字です。

手取りを守る3つの防衛策

防衛策①:養育期間の標準報酬月額特例を必ず申請する

3歳未満の子を養育している間に標準報酬月額が下がった場合、年金額の計算では従前(時短前)の高い標準報酬月額を使ってくれるという制度があります。つまり「保険料は安くなるけど、将来の年金は減らない」。

僕はこれを復職前に知っていたので、復職面談で人事に「養育期間標準報酬月額特例の申出書をお願いします」と伝えました。人事担当者でも知らないケースがあるので、自分から申し出ることが大事です。日本年金機構のサイトに申出書の様式が公開されています。

あわせて「育児休業等終了時報酬月額変更届」も提出してもらいましょう。通常の随時改定(月額変更届)は2等級以上の差が必要ですが、育休終了時の届出は1等級でも改定可能。社会保険料が早く下がります。

防衛策②:2025年4月〜「育児時短就業給付金」を申請する

2025年4月に新設された雇用保険の給付制度です。2歳未満の子を養育しながら時短勤務をしている場合、時短勤務中の賃金の10%が雇用保険から支給されます。

先ほどの例でいえば、時短月給24.9万円の10%=約2.5万円/月が上乗せ。年間で約30万円の補填です。

ただし対象は「2歳未満」まで。うちの息子はもう年少なので僕は対象外でしたが、これから育休→時短復職する人にとっては大きな味方です。申請はハローワーク経由で、原則として事業主が手続きします。

防衛策③:住民税の「減額・免除」制度を確認する

前年所得が大幅に下がった場合、自治体によっては住民税の減免制度を使える場合があります。育休中に収入がゼロだった翌年度は住民税が大きく下がりますが、問題は時短1年目。フルタイム時代の高い住民税がかかるのに、手取りは減っている状態です。

お住まいの自治体の窓口で「前年から大幅に収入が減ったのですが、住民税の減免制度はありますか」と聞いてみてください。川崎市の場合、前年比で所得が大幅に減少した世帯への減免制度がありました。

僕がやった「復職前の家計シミュレーション」5ステップ

  1. フルタイム時の給与明細を3ヶ月分並べる──基本給・各種手当・控除の内訳を把握
  2. 時短比率(6/8 = 75%)を基本給と手当それぞれにかける──残業手当はゼロ前提
  3. 社会保険料を標準報酬月額表から引き直す──協会けんぽのサイトで都道府県別の保険料額表が公開されています
  4. 賞与も同じ比率で減額して年収を出す──ここで年間の減収総額がわかる
  5. 妻の収入と合算して世帯年収で家計を組み直す──固定費の見直しポイントを洗い出す

朝6時に起きて息子の朝食を作り、保育園に送ってから出社する生活が始まる前に、この5ステップをやっておいたことで、復職後の家計パニックを回避できました。

よくある質問(FAQ)

Q1. 時短勤務で給与はどれくらい減りますか?

A. 6時間勤務(所定8時間の75%)の場合、基本給は25%減ですが、社会保険料や賞与の減少も含めると年収ベースで約26%減が目安です。時短1年目は前年の住民税が高いまま残るため、体感の減少幅はさらに大きくなります。

Q2. 時短勤務中でも将来の年金は減りませんか?

A. 「養育期間の標準報酬月額特例」を申請すれば、年金額の計算では時短前の高い標準報酬月額が使われるため、将来の年金は減りません。3歳未満の子の養育が対象で、男性も申請できます。

Q3. 育児時短就業給付金はいくらもらえますか?

A. 2025年4月に新設された制度で、時短勤務中の賃金の10%が雇用保険から支給されます。月給25万円なら月約2.5万円、年間約30万円の補填です。対象は2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者です。

Q4. 時短勤務中の社会保険料はいつから下がりますか?

A. 「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すると、復職後4ヶ月目から新しい(低い)標準報酬月額に基づく保険料が適用されます。届出をしないと、育休前の高い保険料が続くので注意してください。

Q5. 時短勤務と育休、どちらが家計に有利ですか?

A. 育児休業給付金(手取りの約8割相当)が出る育休のほうが短期的には有利な場合が多いですが、キャリアの継続性や復職後の評価を考慮すると一概には言えません。家計と働き方の両面から検討してください。

参考文献