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「公立中高一貫校と私立中学受験、正直どっちがお金かかりますか?」——FP相談でよく聞かれるのが、この質問です。

答えはシンプルです。圧倒的に私立中学受験のほうが高い。ただ、数字で示さないとどれだけ違うのかピンとこない。今回は小学3・4年生の子を持つ家庭に向けて、「公立Aコース・公立中高一貫Bコース・私立中高一貫Cコース」の3パターンで小4から高校卒業までの教育費を試算し、月々いくら積み立てれば間に合うかを整理します。

数字は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」と塾各社の公開料金をもとにしたレンジ表記です。家庭の選択(塾の規模・受験校数)で差が出るため、判断の足がかりとして活用してください。

3つのコースと比較の前提

以下の3コースで比較します。大学費用・就学支援金(2026年4月から所得制限撤廃)は試算に含まず、別途ご確認ください。

コース中学高校受験・受検タイミング
Aコース公立中学公立高校高校受験あり(中3)
Bコース公立中高一貫校一貫内進学適性検査受検あり(小6)
Cコース私立中学(受験)私立高校(内進)中学受験あり(小6)

ステップ1:学費6年間を文科省データで比較する

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとに、中学3年+高校3年の学習費合計を整理しました。授業料のほか学校外活動費(塾代・習い事)も含む広義の数字です。

コース中学3年間高校3年間6年間合計
Aコース(公立中+公立高)約162万円約154万円約316万円
Bコース(公立中高一貫)約162万円約154万円約316万円
Cコース(私立中+私立高)約468万円約310万円約778万円

ここで重要なポイントが1つ。AコースとBコース(公立中高一貫)の学費は同額です。「公立中高一貫は学費が高いのでは?」と思って相談に来る方がいますが、公立学校なので授業料は無償の対象。中高6年間で通常の公立と同水準の約316万円です。差が出るのは次の「受験・受検準備費」の部分です。

なお、2026年4月から高校の就学支援金の所得制限が撤廃され、私立高校でも全世帯に年間最大45.7万円が支給されます。Cコースの高校3年間実質負担は最大137万円下がりうる計算ですが、それを差し引いてもAコース・Bコースとの差は約300万円以上残ります。

ステップ2:受験・受検の準備費がここまで違う

学費の差だけでなく、見落とされがちなのが受験・受検準備にかかる費用です。これは学習費調査には含まれませんが、実質的には教育費の大きな柱になります。

Bコース(公立中高一貫受検)の準備費

公立中高一貫校の「適性検査」は、私立中学の教科型入試とは別物です。教科書の枠を超えた難問集中型ではなく、資料や文章を読んで自分の考えを書く「総合的な記述問題」が中心。対策塾の費用は私立受験より抑えられます。

  • 小4〜小6(3年間)の適性検査対策塾の目安:月1〜2万円前後
  • 3年間の合計費用:約40〜80万円
  • 受検費用(検定料):数百〜数千円(ほぼ無料)

Cコース(私立中学受験)の準備費

大手4塾(SAPIX・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー)に小4から通った場合の費用感です。

  • 年間費用(授業料+夏期・冬期講習):小4で約60〜80万円、小5で約80〜100万円、小6で約120〜150万円
  • 小4〜小6の3年間合計:約150〜250万円(日能研3年間で約212万円との試算も)
  • 受験費用(受験料+入学金):私立1校で受験料2〜3万円+入学金平均約24万円。複数校受験と「捨て金」を含めると約30〜60万円

ステップ3:小4から高校卒業までの「総費用」を比較する

学費・準備費・受験費用を合算した3コースの総費用(試算)をまとめます。

コース6年間学費準備費(塾等)受験費用合計目安
Aコース(公立)約316万円約50〜80万円(高校受験塾)約5〜10万円約370〜410万円
Bコース(公立中高一貫)約316万円約40〜80万円(適性検査塾)ほぼ無料約360〜400万円
Cコース(私立中高一貫)約778万円約150〜250万円(大手4塾)約30〜60万円約960〜1,090万円

BコースとCコースの差は約560〜690万円。月額換算すると(小4スタートで10年間として)、月4.7〜5.7万円もの違いになります。この差を知ったうえで選ぶのと、知らずに選ぶのでは積立計画がまったく変わります。

ステップ4:月ならし積立目安を逆算する

「じゃあ毎月いくら積み立てればいいの?」——ここが実践的な核心です。小4(9〜10歳)から始め、高校卒業(18歳)まで約108ヶ月で目標額を準備する場合の月ならし積立目安です(年利0%の現金積立ベース)。

コース目標総額(目安)月ならし積立額
Aコース(公立)約390万円月約3.6万円
Bコース(公立中高一貫)約380万円月約3.5万円
Cコース(私立中高一貫)約1,025万円月約9.5万円

Cコースは月9.5万円。共働き家庭でも、教育費だけでこれだけかかる計算です。もちろん全額を新規積立する必要はなく、すでに積み立てた学資保険・新NISA・こどもNISAの残高から差し引いて考えてください。

FP相談でよく聞かれるのが「中学受験を決めた時点からゼロで積み始める」ケース。小6で急に「受験させたい」となっても、残り数ヶ月で100万円を用意するのは難しい。小4になったらどのコースにするか仮方針を決め、専用口座を開設するのがFP流の鉄則です。

Bコース選択時の注意点:受検に不合格だったらどうなる?

公立中高一貫は人気校だと競争率5〜10倍になることも珍しくありません。不合格でも「通常の公立中学に進む」というプランBが自動的に成立するため、資金的なリスクは限定的です。ただし、受検対策に使った40〜80万円は戻りません。

うちの長男のとき実際に、地元の公立中高一貫を目指してBコースで準備していたご家庭の相談を受けました。受検不合格になっても通常の公立中学に進んだため学費水準は変わらず、「塾費用だけが余分にかかった」で済んだケースです。FP目線では、公立中高一貫のみ受検ならAコース水準の積立で準備しておけばリスクが低いという判断になります。

Cコースを選ぶ前に確認したい3点

私立中高一貫には公立にない強みも確かにあります。

  1. 6年間の一貫カリキュラム:高校受験がないぶん、大学受験に向けた先取り学習が可能
  2. 校風・教育環境の選択肢:公立にはない特色ある指導方針を選べる
  3. 難関大学合格実績:進学校としての実績が公立を上回る学校も多い

ただし、結論から言うと家計の見直しが先です。Cコースを選ぶなら、まず月9〜10万円の教育費を継続的に出せるかどうかを確認してから動いてください。憧れだけで入塾させて3年後に積立を止めるケースをFP相談で何度も見てきました。「今の家計で維持できるか」を数字で確認してから方針を固めてください。

積立を始める前の3ステップ

  1. コースの仮決め(小3〜小4まで):A・B・Cどのコースを目指すか方針を持っておく。塾への入塾タイミング(小4の2月が目安)に合わせて逆算する
  2. 現在の教育資金残高を確認:学資保険・新NISA・こどもNISA・普通預金の合計額を月ならし目標額から差し引く。不足分だけ積み増す
  3. 専用口座を開設して自動振替を設定:受験準備費は生活費口座と必ず分離する。夏期講習や模試の集中支出で生活費口座が枯渇する事態を防ぐ

よくある質問(FAQ)

Q1. 公立中高一貫校に合格すれば、私立より確実に安く済みますか?

合格すれば、学費6年間はほぼ同額(約316万円)です。ただし合格率は一般的に20〜30%程度。受検不合格でも公立中学に進めるため費用面のリスクは限定的ですが、準備に使った塾費用は戻りません。

Q2. 就学支援金(2026年から所得制限撤廃)で私立高校の負担はどれだけ下がりますか?

全世帯に年間最大45.7万円が支給されます(都道府県の上乗せなし・全国標準の場合)。3年間で最大137万円。ただし、授業料が全国平均(47万円前後)を超える学校では超過分は自己負担です。居住地の都道府県の上乗せ補助制度も異なるため、必ず確認してください。

Q3. 児童手当を活用するとどれくらい補填できますか?

2024年10月改正後の児童手当(0〜18歳)を全額積立すると、1人あたり最大234万円(第1子・第2子の場合)になります。Aコース・Bコースの総費用(約380〜400万円)の約6割をカバーできる計算です。受け取り次第、専用口座に自動振替する習慣をつけておきましょう。

Q4. こどもNISA(2027年開始予定)はどのコースに活用できますか?

こどもNISAは12歳未満が原則引き出し不可のため、小4〜小6の受験・受検費用には間に合いません。「高校以降の教育費(大学入試費用・授業料)」として位置づけてください。中学受験の準備費(塾代・受験料)は、親の新NISAや普通預金・定期預金で別管理が原則です。

Q5. 小4より前に積立を始めていない場合はどうすればいいですか?

残り月数で目標額を割り直して月額を設定してください。積立が間に合わない場合は、固定費見直し(通信費・保険料)で月1〜2万円捻出するか、ボーナスの先取り振替を検討してください。積立を「止めるより下げる」選択が長続きの鉄則です。

参考文献

  • 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024年公表)
  • 野村の金融経済教育サイト「Fin Wing」「中学校3年間で平均300万円以上の差!! 公立学校進学者と私立学校進学者での学習費(中学校編)」
  • リセマム「51校が値上げ…東京都内私立中の学費、平均1.4%増の104万8,034円」(2025年12月)
  • 塾選「【2026年最新】中学受験にかかる塾費用は?年間塾代や月謝、私立学費について徹底解説!」
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