FP相談でよく聞かれるのが、「うちの子が来年の4月に小学校に上がるんですが、いくら準備しておけばいいですか?」という質問です。9月になると、年長さんを持つ保護者からのこの相談が一気に増えます。

正直に言うと、私も長女のとき実際に失敗しました。ランドセル・制服・体操服・学用品が3月〜4月に集中して、その月だけ家計が大幅な赤字になってしまったんです。「保育料がなくなるから楽になる」と油断していたのが原因でした。あのとき翌年からの月ならし積立を始めていなければ、長女の入学直後から教育資金の口座を取り崩していたかもしれません。

この記事では、入学準備費用の実態と「今秋から動く3ステップ」、そして入学後の家計がどう変わるかをCFPの視点でまとめます。

小学校入学準備費用の実態:平均10〜15万円、ランドセルが最大の山

文部科学省や各調査によると、公立小学校の入学準備にかかる費用は平均10〜15万円が目安です(地域・学校の方針によって8〜20万円まで幅があります)。

費目 目安金額 備考
ランドセル4〜9万円2026年の平均購入価格は約6万円
体操服・上履き・外履き1〜2万円学校指定品か否かで変動
制服(ある学校のみ)1.5〜3万円公立は制服なしが多数
学用品(筆記具・のり・絵の具等)5,000〜2万円学校指定リスト次第
防災頭巾・給食エプロン3,000〜8,000円学校指定あり
その他(体育館シューズ・手提げ袋等)3,000〜1万円地域・学校によって追加あり
合計目安8〜15万円制服なし公立は下限寄り

ランドセルが最大の出費です。ブランドへのこだわりや祖父母からのプレゼントによって金額が大きく変わりますが、家計から出す場合は「4〜6万円の枠」を事前に決めておくことがポイントです。

4月以降の家計はどう変わる?保育料消失と新たな出費

結論から言うと家計の見直しが先です。「保育料がなくなるから楽になる」という思い込みで動かないでいると、実は支出が組み替わるだけで余裕が消えるケースが多いんです。

プラスになるもの

  • 保育料の消失:月3万〜6万円のコスト削減(園の種類・子どもの人数による)
  • 給食費の節約:幼稚園の弁当代・給食実費が小学校給食に一本化

新たに発生・増加するもの

  • 学童保育費:公立で月5,000〜1万円、民間で月3〜6万円
  • 習い事費用:学童から習い事への組み替えで実質増加するケースも
  • 学校外学習費:通信教育・塾が始まる家庭は早ければ1年生から
  • 旅費・イベント費:運動会・遠足・林間学校など年間行事費

文科省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立小学校の年間学習費は平均336,974円(月額約2.8万円)。保育料がなくなった分の余力がそのまま浮くわけではありません。特に「学童→習い事の組み合わせ」を選ぶ共働き世帯では、月の教育費が増えるケースが珍しくありません。

CFP流3ステップ:今秋から始める入学準備費の月ならし積立

Step1. 入学準備費カレンダーを書き出す(9〜10月中に)

まず、2027年3〜4月に発生する費目と金額をリストアップします。

  • ランドセル購入時期:早割りは5〜7月が多いが、購入が翌春になる場合もある
  • 体操服・上履き:入学説明会(2〜3月)で指定品が判明することが多い
  • 学用品:学校から「購入リスト」が届いてから算出
  • 学童保育の入所申込:自治体によって9〜11月が申込期間

ランドセルは「入学式に間に合えばいい」と考えると冬〜春でも間に合いますが、人気商品は品切れになることも。秋の内に「どの価格帯のランドセルを選ぶか」だけでも夫婦で合意しておくと、年明けに慌てません。

Step2. 月ならし額を計算して専用口座を開設する

費目が洗い出せたら、合計金額を残り月数(9月から4月なら8か月、10月からなら7か月)で割ります。

計算例
入学準備費合計:12万円
準備期間:8か月(9月〜4月)
→ 月ならし額:1.5万円/月

大事なのは専用口座を分けることです。生活費口座と同じ口座に入れておくと、「残高があるから大丈夫」という錯覚が生まれ、春になって「なぜかない」という事態になります。ネット銀行の普通預金口座は金利も0.3〜0.75%台と悪くなく、元本確保も確実です。

給与日の翌日に自動振替を設定すれば、毎月考えなくても積み上がる仕組みができます。

Step3. 4月以降の家計を先取り設計する(保育料消失分の振り先を決める)

入学後に「保育料が消えた分」をどこに回すか、今のうちに決めておくことが重要です。決めないと生活費に溶けます。

推奨の振り先優先順位:

  1. 学童保育費の確保(新たな固定費として自動振替に組み込む)
  2. 小学校6年間の教育資金積立(月1〜2万円から)
  3. 習い事・学校外活動費の予算枠(特別費として別管理)

FP相談でよく聞かれるのが「保育料がなくなったのに全然余裕がない」という悩みです。入学直後は学童代・習い事費用・4月の特別費(制服・ランドセルの残余支払い)が重なりやすく、余裕が消えやすい。3月末に「4月からの収支シミュレーション」を1枚作っておくだけで、パニックを防げます。

就学援助制度の確認を忘れずに

入学準備費用の補助として、就学援助制度の「入学前申請」があります。世帯年収によっては、新入学児童生徒学用品費などが支給されます。

重要なのは申請のタイミング。多くの自治体では前年12月〜3月が申請期限で、4月の入学後では「新入学準備金」が遡及されないケースがあります。今秋の段階で、居住自治体の就学援助制度を一度確認しておきましょう。マイナポータルの「ぴったりサービス」から検索できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ランドセルは何月に買うのが最安ですか?

早割りは5〜7月、型落ちを狙うなら3〜4月が安くなる傾向があります。ただし人気商品は4〜6月に完売することも多いため、「予算の上限を決めてから検討開始」が先です。祖父母がプレゼントしてくれる場合は早めに金額と好みを共有しておきましょう。

Q2. ランドセル代を祖父母に出してもらうと贈与税がかかりますか?

学用品・ランドセル費用を「都度贈与」で祖父母が直接支払う場合は、扶養義務者間の教育費として非課税です(贈与税の対象外)。孫名義の口座に入金する形は別扱いになるため、直接支払いを依頼しましょう。

Q3. 保育料が消えた月から何かすぐ始めたほうがいいですか?

「保育料がなくなった月から、同額を教育資金口座に自動振替する」のが最も再現性の高い方法です。4月の給与日翌日に自動振替を設定するだけで、浮いた分が生活費に溶けるのを防げます。

Q4. 学童保育は公立と民間どちらがいいですか?

費用は公立が月5,000〜1万円、民間が月3〜6万円と大きく異なります。公立は申込者が多く抽選になる自治体も。10月ごろが申込期間の自治体が多いため、今秋の早い段階で情報収集を始めましょう。FP的には、民間学童を選ぶ場合は「習い事費との合計額」で家計を見ることを勧めています。

Q5. 入学準備と同時に「こどもNISA(2027年開始)」も検討すべきですか?

こどもNISA(2027年1月開始予定・年60万円・上限600万円)は長期的な教育資金形成に有効ですが、小学校入学準備費用は「1〜2年以内に使うお金」です。短期で使う費用は元本保証の口座に置くのが鉄則で、こどもNISAは中学以降の費用を想定した器として分けて考えましょう。

まとめ

  • 小学校入学準備費用は平均10〜15万円、ランドセルが最大の山
  • 入学準備は費用カレンダーの書き出し→月ならし積立→専用口座の3ステップ
  • 9月から始めれば月1.5万円前後に分散できる(合計12万円の場合)
  • 「保育料が消えた=余裕になる」ではなく、学童・習い事・学校外費用が入れ替わる
  • 就学援助の入学前申請は12〜3月が締切の自治体が多い。今秋から確認を

参考文献・データ出典

  • 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(公立小学校年間学習費:336,974円)
  • 文部科学省「就学援助制度について(令和6年度)」(新入学児童生徒学用品費等の支給)
  • くらしのコンパス「【2026年版】小学校入学準備の費用総額10〜15万円」
  • こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」