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FP相談でよく聞かれるのが、「高校生になったら急に塾代が増えて家計が苦しくなりました」という悩みです。

「中学受験が終わって少しゆとりができたと思ったのに、高校入学と同時に大手予備校に入塾して……最初の請求書を見て固まりました」。こうした声は、毎年4〜5月のFP相談で急増します。

うちの長男のとき実際に、高1の春に入塾手続きを進めながら3年間の想定費用を計算してみたら、夏期講習・冬期講習まで含めると軽く100万円を超えることがわかりました。受験費用(受験料や入学金)の積立はしていたのに、3年間にわたる「準備費用」をほとんど見込んでいなかった。この経験がきっかけで、FP相談でも必ず「受験費用と塾代は別口座で積み立てる」ことを伝えるようになりました。

今回は、大学受験準備にかかる費用を「塾代」「模試代」「教材費」に分けて整理し、高1から始める月ならし積立の3ステップをお伝えします。

高校生の大学受験準備費用、なぜ「見えにくい」のか

大学受験費用というと、受験料や入学金(捨て金リスクを含む)に目が向きがちです。しかし実際には、高1〜高3の3年間を通じてかかる「準備費用」のほうが金額として大きくなるケースが多い。

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立高校生の補助学習費(塾代・通信教育・家庭内学習費を含む)の学年別平均は次のとおりです。

学年補助学習費(年間・平均)
高校1年生(公立)約14万円
高校2年生(公立)約18万円
高校3年生(公立)約28.7万円
3年間合計(公立・平均)約60.7万円

ただしこれは塾に通っていない生徒も含む全家庭の平均値です。実際に通塾している家庭に絞ると、年間の塾費用は平均約51万円という調査結果もあります。「うちは大学受験でそれなりに本腰を入れる予定」という家庭が何となく後回しにしているうちに、実態よりずっと少ない金額しか積み立てていないケースをFP相談で何度も見てきました。

費用3パターン比較:あなたの家庭はどれに近い?

大学受験準備の費用は、どんな学習スタイルを選ぶかで3年間の総額が大きく変わります。

パターンA:参考書・映像授業のみ(最小限コース)

  • スタディサプリ等の映像授業:年間約2〜3万円
  • 参考書・問題集:年間約2〜5万円
  • 模試費用:3年間で約8〜16万円
  • 3年間合計目安:約20〜40万円

自己管理力が高く、学校の授業で基礎が固まっている子向け。地方の公立進学校で学校授業と自学自習を組み合わせる家庭に多いパターンです。

パターンB:大手予備校・集団指導(標準コース)

  • 高1・2年:年間20〜40万円(授業料+サポート料)
  • 高3年:年間50〜80万円(夏期講習・冬期講習・直前講習を含む)
  • 模試費用:3年間で約8〜16万円
  • 3年間合計目安:約90〜160万円

最も多くの受験生が選ぶスタイルです。月謝だけで計算していると、夏期・冬期講習の費用で大幅に予算オーバーになるのがこのパターンの特徴。

パターンC:個別指導塾(手厚いサポートコース)

  • 苦手科目1〜2科目のみ補強:年間20〜40万円
  • 複数科目・週3コマ以上:年間60〜100万円以上
  • 3年間合計目安:約100〜280万円

苦手科目のピンポイント補強なら費用を抑えられますが、全科目を任せると費用が青天井になりやすい。複数塾の掛け持ちも同様で、注意が必要です。

見落としやすい「模試費用」の実態

FP相談でよく聞かれるのが、「模試ってそんなにお金かかるんですか?」という質問です。月謝以外の模試代を教育費として別計上していないご家庭が目立ちます。

模試名受験料(会場・一般生)
河合塾 全統共通テスト模試(高3・リスニングあり)8,800円
河合塾 全統記述模試(高3)7,400円
駿台全国模試7,100円
各社 大学別実践模試8,000〜9,000円

学年別の受験回数の目安と費用は次のとおりです。

学年年間受験回数の目安年間費用目安
高13〜4回約1〜2.5万円
高24〜5回約2〜3.5万円
高36〜12回約5〜10万円
3年間合計13〜21回約8〜16万円

難関大学志望で大学別実践模試を複数受ける場合、高3だけで模試代が10万円を超えることもあります。

3年間の費用カレンダー:ピーク月を先に把握する

大学受験準備費用は毎月均等にかかるわけではありません。特定の月に出費が集中します。パターンB(集団指導)を前提とした目安は以下のとおりです。

時期主な費用目安額
4月(入塾・前期開始)入塾金・前期授業料5〜10万円
7〜8月(夏期講習)夏期講習費・模試代10〜20万円
9月(後期開始)後期授業料・模試代5〜15万円
12〜1月(冬期・直前講習)冬期講習・共通テスト直前講習10〜20万円

高3の1年間だけで夏期・冬期・直前講習の合計が30〜40万円に達するケースも珍しくありません。月謝だけで3年間のコストを計画していると、このスポット費用に対応できなくなります。

FP流3ステップ:高1の4月から始める月ならし積立

「受験費用は高2か高3になったら考えよう」と思っているうちに手遅れになります。積立期間が短いほど毎月の積立額が増えるため、高1の4月から始めることが唯一「月額を小さく抑える」方法です。

Step 1:進路イメージから費用パターンを中学3年の秋に仮決めする

以下の問いに対して「どちらに近いか」を夫婦で確認します。

  • 国公立大学志望か、私立大学中心か(科目数の多さが塾の費用に直結)
  • 映像授業・自学自習型か、通塾の集団指導型か
  • 苦手科目の補強のみ個別指導を使うか

この問いへの答えで、3年間の費用がパターンA〜Cのどれに近いかがおおむね決まります。迷う場合はパターンB(集団指導)の中間値「120万円」を暫定目標にしましょう。

Step 2:「塾代口座」を受験費用口座と別々に開設する

大学受験費用(受験料・入学金)の積立は別口座が鉄則ですが、それとはさらに別に「塾代・模試代専用口座」を高1の4月に作ります。

口座を分ける理由は一つ:受験の冬に「塾代積立」から入学金を払うことを防ぐためです。口座が同じだと残高の錯覚が起き、気づいたら両方が不足します。ネット銀行の普通預金口座(利率0.3〜1%台)を活用するのがおすすめです。

Step 3:月ならし積立額を固定費として給与日翌日に自動振替する

高1の4月(36カ月)からスタートする場合の月ならし積立額の目安です。

目標総額月ならし積立額想定する学習スタイル
50万円約14,000円/月映像授業・参考書中心
100万円約28,000円/月集団指導塾(講習少なめ)
150万円約42,000円/月集団指導塾(フル活用)
200万円約56,000円/月個別指導・複数科目

「月4〜5万円を給与日翌日に自動振替する」設定をするだけで、3年後に144〜180万円が積み上がります。結論から言うと家計の見直しが先です。「塾代が払えない」と言う前に、固定費を1か所だけ変えられないか確認してみてください。中学時代に終わった習い事費用(月1〜2万円)をそのまま塾代口座への自動振替に切り替えると、家計負担を変えずに積立を始められます。

よくある質問

Q1. 高2から積み立て始めても間に合いますか?

間に合います。ただし積立期間が24カ月に短縮されるため、月額は1.5倍になります。150万円の目標なら月約6.3万円が必要です。高1から始める場合(月4.2万円)と比べて毎月2万円以上の差が生じます。「もう高2だから」と諦めず、今月から積立口座を開設することをおすすめします。

Q2. こどもNISAや学資保険を解約して塾代に充てていいですか?

基本的におすすめしません。学資保険は途中解約で返戻率が大幅に低下します。こどもNISAは12歳未満は原則払い出し不可です。塾代は専用口座に月ならし積立(普通預金)で対応し、NISAや学資保険は大学入学後の費用(授業料・仕送り)に温存するのが原則です。

Q3. 国公立志望なら費用を抑えられますか?

科目数が多い分、塾の授業コマ数が増えるケースもあり、費用が必ずしも安くなるとは限りません。一方で私立専願なら受験科目を絞れるため、パターンAまたはBの下限が現実的な目安になります。志望校が固まる高2の夏に再試算することをおすすめします。

Q4. 夏期講習はすべて申し込むべきですか?

全コマ参加より「苦手単元だけ絞る」選択が費用対効果は高いことが多いです。FP相談でも、夏期講習を取捨選択して費用を抑えながら第一志望に合格したご家庭を複数見てきました。担当講師と相談しつつ、費用と学習効果の両面で判断することをおすすめします。

Q5. 積立原資はどこから作ればいいですか?

最も再現性が高いのは「中学時代に終わった習い事費用の振り替え」です。月1〜2万円の習い事が終わったタイミングで、同額を塾代積立口座に自動振替するよう設定するだけ。家計の負担を変えずに積立を始められます。それでも不足する場合は通信費・サブスクの見直しを1か所だけ行うのが長続きするコツです。

参考文献

  • 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月公表)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html
  • 河合塾「2026年度 高校グリーンコース 学費規定」(河合塾公式サイト)
    https://www.kawai-juku.ac.jp/hgreen/fee/
  • 河合塾「2026年度 全統模試スケジュール・受験料」(河合塾公式サイト)
    https://www.kawai-juku.ac.jp/zento/
  • 生命保険文化センター「高校生にかかる教育費はどれくらい?」
    https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/788.html
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