「節約しなきゃと思って食費は頑張っているんですけど、なかなか貯まらなくて…」

FP相談でよく聞かれるのが、このパターンです。家計の内訳を見せてもらうと、食費は確かに切り詰めている。でもスマホ代が夫婦で月1万5,000円を超えていたり、ほとんど見ていない動画配信サービスに複数課金していたりする。

食費を月3,000円削るのは毎日の工夫が必要で大変です。でも通信費を見直すだけで月1万円以上浮く家庭は珍しくない。結論から言うと家計の見直しが先で、スマホ代とサブスクから手をつけるのが最も効率的なのに、多くの家庭でここは「聖域」になっています。

この記事では、FP相談の現場で実際に効果があった固定費削減の3ステップを解説します。「手続きが面倒そう」「金額が少額だから後で」と先送りにしてきた方に、特に読んでほしい内容です。

なぜ「スマホ代とサブスク」は手つかずになるのか

通信費とサブスクが見直されにくい理由は3つあります。

  • 手続きの心理的コスト:乗り換えは「面倒」というイメージが先行し、後回しになりやすい
  • 「当たり前」化:毎月自動引き落としのため、支出していることへの意識が薄れる
  • 金額が小さく見える:「月980円なんて大した額じゃない」と感じるが、積み重なると大きい

でも数字にすると話は変わります。

現状の出費を数字で確認する

スマホ代の現実

MM総研の2026年2月の調査によると、大手4キャリア(docomo・au・SoftBank・楽天)ユーザーの月額平均は端末代を含めて8,551円。純粋な通信料だけでも月5,000〜7,000円の人が大半を占めます。

一方、格安SIM(MVNO・サブブランド)の月額は以下のとおりです。

サービス データ容量 月額料金(税込)
LINEMO 20GB 2,090円
楽天モバイル 〜20GB 2,178円
IIJmio(ギガプラン) 20GB 2,000円前後
UQモバイル 35GB 3,828円

月7,000円のキャリアから月2,090円のLINEMOに切り替えると、1人で月4,910円・年5.9万円の削減。夫婦2人なら年12万円近くが浮きます。

うちの長女のとき実際に試した経験でいうと、夫婦ともに大手キャリアのままデータ使用量を確認したら、2人とも月3GB以下しか使っていなかったんです。自宅にWi-Fiがあれば当然といえば当然で、20GBプランを契約し続けていたのはまったくの無駄遣いでした。格安SIMに乗り換えてからは月約1.2万円の削減、年間14万円以上が手元に残るようになりました。

サブスクの現実

2026年の調査(サブスク管理帳)では、1人あたりの平均契約サービス数は2.3件。最も多い月額価格帯は1,000〜3,000円(31.4%)です。子育て世帯でよく見かける組み合わせを挙げてみます。

  • Netflix(月1,490〜1,980円)
  • Amazon Prime(月600円)
  • Disney+(月990円)
  • Spotify(月980円)
  • ゲーム・クラウドストレージ(各500〜1,000円)

これだけで月4,000〜6,000円。「使っている」と言えるのは多くて2〜3サービスなのに、解約の手続きが面倒で契約し続けているケースが多い。年間5〜7万円規模になります。

FP流3ステップ:浮かせたお金を教育資金に変える

Step 1:スマホ代の実態を「3分で可視化」する

まず今月のスマホ代(通信料のみ、端末の分割払いを除く)を夫婦それぞれ確認します。

確認する数字は2つだけ:

  1. 月々の通信料(端末代・オプション除く)
  2. 直近3ヶ月のデータ使用量(通常はキャリアのアプリで確認できます)

データ使用量が月10GB未満なら、格安SIMで十分です。自宅と職場にWi-Fiがある人は3GB以下のことも多い。

判断の目安:

  • 月額5,000円超 → 見直し必須
  • データ使用量が月5GB以下 → LINEMO・楽天モバイルで十分
  • 月額3,000円以下 → 現状維持でも可

Step 2:格安SIMへの乗り換えは「まず1回線」から試す

両方を一気に乗り換えると「繋がりにくい」「通話品質が」と後戻りしたくなるリスクがあります。まず1人分(子ども番号や使用頻度の低い方)で試して、問題なければもう1回線に移行するのが安全策です。

乗り換え手順(約30〜60分で完了):

  1. 現キャリアのアプリやウェブでMNP予約番号を取得
  2. 新サービスのウェブサイトでSIM申し込み(本人確認書類が必要)
  3. SIMが届いたら差し替えてAPN設定
  4. 電話・データ通信の動作確認
  5. 旧キャリアの解約(SIM差し替え後でOK)

目的別の選び方:

  • 通話が多い人:楽天モバイル(国内通話無料)
  • コスト最重視:IIJmio・LINEMO(従量プランや割安プラン)
  • 初めてで不安な人:UQモバイル(実店舗サポートあり)

2026年現在、多くのサービスでMNP転入事務手数料は無料です。乗り換えに実質かかるコストはほぼゼロと思っておいて問題ありません。

Step 3:サブスクを「使う・休む・辞める」3区分で仕分ける

クレジットカードと銀行口座の引き落とし明細を1ヶ月分確認して、サブスクの一覧を作ります。

分類 基準(最後に使ったのは?) 対応
使う 先週以内に使った 継続
休む 1ヶ月以上使っていない 一時停止(Netflix等は可能)
辞める 3ヶ月以上ほぼ使っていない 即解約

「辞めるのが惜しい」という気持ちはわかります。でも「いつか使うかも」のサブスクは、再契約すればすぐ使えます。惜しいと思いながら毎月払い続ける固定費こそ、教育資金の積立余力を静かに奪っているものです。

この仕分け作業で月2,000〜5,000円が浮くケースが大半です。

浮いたお金は「同額の自動振替」で逃がさない

格安SIMへの乗り換えとサブスク整理で浮いた金額を計算して、翌月の給与日翌日に同額を教育資金口座へ自動振替する設定を即日入れてください。

年12万円(スマホ)+年5万円(サブスク整理)=年17万円。これを教育資金口座に積み続けると:

  • 5年後:85万円(年利3%で複利なら約92万円)
  • 10年後:170万円(年利3%で複利なら約197万円)
  • 15年後:255万円(年利3%で複利なら約321万円)

「月980円のサブスクを1本解約しても大した変化はない」と感じるかもしれません。でも一度の手続きで効果が12ヶ月・18年と続く固定費の見直しは、食費の日々の節約努力と比べて時間あたりの効果が圧倒的に高い。食費を毎日工夫して月5,000円削るのと、30分の手続きで月1万2,000円を削るのでは、どちらが現実的かは明らかです。

乗り換え前の確認ポイント3つ

  1. 会社の家族割・福利厚生:会社が特定キャリアの割引を提供している場合は事前確認を。格安SIMに乗り換えると逆効果になるケースもあります
  2. 端末のSIMロック:2021年10月以降に発売された端末はSIMフリーが義務化されていますが、それ以前の端末は確認が必要です
  3. 通話・通信の利用スタイル:仕事でテザリングを多用する場合は速度の安定性を重視したサービスを選んでください

これらに該当しなければ、切り替えのリスクはほぼありません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 格安SIMにしたら繋がりにくくなりませんか?

混雑時間帯(昼12〜13時など)は速度が落ちるケースがあります。ただ自宅と職場にWi-Fiがある方は日常生活への影響はほぼないというのが現場の実感です。不安な場合はまず1回線で試してから判断しましょう。

Q2. 乗り換えにかかる時間と費用は?

手続き自体は30〜60分で完了します。2026年現在、多くのサービスでMNP転入事務手数料は無料です。端末がSIMロックフリーであれば、追加費用はほぼかかりません。

Q3. サブスクを全部一気に解約するのはどうでしょうか?

使っているものまで解約すると反動で別の出費が増えることがあります。「使う・休む・辞める」の3区分で仕分けて、辞めるものだけ解約するのが長続きするやり方です。

Q4. 浮いたお金はどの口座に積めばいいですか?

教育資金は「使う時期が決まっているお金」なので元本保証の口座が基本です。5年以内に使う分はネット銀行の普通預金・定期預金、5年以上先の分は個人向け国債変動10年(現在1.6〜1.7%台)も選択肢になります。NISAと混在させると残高が見えにくくなるため、専用口座を用意するのがおすすめです。

Q5. 乗り換えのタイミングはいつがベストですか?

2021年10月以降の新契約は解約違約金の上限が1,000円に引き下げられているため、タイミングにこだわらず今すぐ手続きしても損失は小さいです。いつやっても正解なので、「今週末」を乗り換えの期日に設定してしまうのがいちばんの近道です。


参考文献

  • MM総研「スマートフォンの月額利用料金に関する調査(2026年2月)」—— スマホ月額平均3,997円、大手キャリアは端末代含む平均8,551円
  • サブスク管理帳「サブスクの月額平均はいくら?【2026年最新データ】」—— 1人平均2.3サービス、月1,000〜3,000円が最多(31.4%)
  • 総務省「家計消費状況調査(2025年7〜9月期)」—— 単身世帯のスマホ代月額平均5,287円