「児童手当って、結局ぜんぶ貯金したらいくらになるんですか?」。FP相談でよく聞かれるのが、この質問です。2024年10月分から制度が拡充され、高校生年代まで支給されるようになりました。そのため、以前の「中学卒業まで」の感覚で計算すると、実際の累計とずれてしまいます。

この記事では、こども家庭庁など公的な案内で確認できる支給額をもとに、18年間の累計を自分で計算できる形で示します。そのうえで、教育資金へ回す手順を3ステップにまとめました。

先に結論:第1・2子は約234万円、第3子以降は約648万円

こども家庭庁の案内によると、支給額は次のとおりです。

子の年齢第1子・第2子第3子以降
3歳未満月15,000円月30,000円
3歳以上〜高校生年代月10,000円月30,000円

対象は「18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」の子です。つまり0歳から高校3年生の3月までで、18年間にあたります。この期間を、細かい誕生月のずれは無視して単純に計算します。

  • 第1子・第2子:(15,000円×36か月)+(10,000円×180か月)=54万円+180万円=約234万円
  • 第3子以降:30,000円×216か月=約648万円

実際の金額は、生まれた月や支給の切り替え時期で多少変わります。それでも、全額を手つかずで残せば、第1・2子で200万円台前半の教育資金になる計算です。

「第3子」の数え方は、大学生年代の兄姉も含む

見落としやすいのが、第3子以降のカウントです。こども家庭庁の案内では、数える対象になる兄姉は、22歳に達する日以後の最初の3月31日までの子です。高校を卒業した上の子や大学生の上の子も、「何人目か」を数えるときには含まれます。

たとえば、大学生の長男と高校生の次男がいる家庭なら、末っ子は第3子として月3万円の対象になる場合があります。ただし、増額には自治体への申請が必要なケースがあります。上の子との関係や生計の確認が絡むためです。手続きの要否は、お住まいの市区町村の案内で確認してください。

うちは長男・長女・次女の3人なので、次女が第3子として数えられます。3人目がいる家庭ほど、この差が18年で数百万円に広がります。

月1万円を18年積み立てると?計算式は隠しません

「現金で置いておく」場合と「積み立てて運用する」場合では、18年後の金額が変わります。ここでは、毎月1万円を年利3%、18年(216か月)で積み立てた場合を例にします。年利3%はあくまで仮定で、将来の運用成果を約束するものではありません。

  • 元本:1万円×216か月=216万円
  • 月利:3%÷12=0.25%
  • 将来価値:1万円×{(1.0025の216乗−1)÷0.0025}=約286万円

運用益は約70万円です。ただし相場によっては元本割れもあり得ます。そのため、使う時期が近い資金ほど、値動きの少ない預け先を選びます。大学入学金のように時期が決まっているお金は、とくに慎重に扱ってください。

児童手当を教育費に回す3ステップ

ステップ1:口座を分けて、入金を見える化する

児童手当は偶数月(2・4・6・8・10・12月)に、前月までの2か月分がまとめて振り込まれます。生活費の口座に混ざると、いつの間にか使われてしまいます。そこで、子どもごとの教育資金用口座を1つ決めて、振り込まれたらその日のうちに移すルールにします。

手動で移すのが続かない家庭は、受取口座そのものを教育資金用に指定する方法もあります。名義や口座の指定は自治体の手続きで変えられるので、確認してみてください。

ステップ2:「全額」ではなく、家計の見直しを先にして回す額を決める

結論から言うと家計の見直しが先です。毎月の赤字を児童手当で埋めている状態では、全額貯金は現実的ではありません。まず、固定費と変動費を洗い出して、教育資金に回せる額を決めます。

  • 余力がある家庭:全額を教育資金へ
  • 家計が厳しい家庭:まず半額を回して、昇給や固定費の見直しのたびに増やす
  • どの家庭にも言えること:目標額と月額を決めて、夫婦で共有する

無理をして続かないくらいなら、半額で18年続けるほうが成果につながります。家庭ごとの最適解は違います。

ステップ3:使う時期の違いで「置き場所」を分ける

教育費は、いつ必要になるかで置き場所を変えます。

使う時期主な使い道置き場所の考え方
5年以内中学・高校入学時の費用、塾代普通預金など元本の動かないもの
6〜10年先高校・大学の入学時費用定期預金、一部を積立投資
10年以上先大学の学費全般積立投資を一部に組み込む

うちの長男は、中学入学後の半年間で制服・部活用品・塾の費用が重なり、23万円以上が出ていきました。入学前から特別費を想定していれば、あわてずに済んだ出費です。入学の節目の費用は、現金で持っておくのが安心です。

高校生年代の支給は「ラストスパート」の資金になる

高校生年代の3年間は、月1万円で合計36万円です。大学受験の費用や、入学金の準備に役立つ時期です。ただし、高校3年の3月まで支給される一方で、入学金の納付は2〜3月に集中します。受け取れる分だけを当てにせず、入学金は先に準備しておく必要があります。

児童手当は、教育費を「全部まかなう」ものではなく、家計の負担を和らげる土台と考えるのが、家庭で再現しやすい使い方です。

よくある質問

Q. 所得制限はまだありますか?

2024年10月分から所得制限は撤廃され、所得にかかわらず満額を受け取れるようになったと、政府広報などで案内されています。

Q. 高校生年代の子がいると、何か手続きは必要ですか?

拡充で対象になる世帯の中には、申請が必要な人がいます。自治体によっては職権で増額する場合もあります。お住まいの市区町村の案内を確認してください。

Q. 児童手当は貯めずに生活費に使ってもよいですか?

使い道に法律上の制限はなく、生活費に充てる家庭も少なくありません。大切なのは、教育費の目標額と月不足額を把握し、足りない分の対策を決めておくことです。

Q. 18年累計の約234万円は、そのまま大学費用に使えますか?

金額としては大きいですが、私立・国公立や自宅・一人暮らしで必要額は大きく変わります。途中の入学金や塾代にも使うと、大学に回せる額は減ります。進路別の目標額と並べて確認しましょう。

参考文献