時短勤務で17時退勤。飲み会の誘いが来るたびに「すみません、今日はちょっと…」と断り続ける日々。3ヶ月も続けると、だんだん誘い自体が来なくなります。

実際に育休取った身として言うと、これが一番じわじわ効いてきます。飲み会に行かないこと自体は問題じゃない。問題は、飲み会の場で交わされる「インフォーマルな情報」から完全に切り離されることです。

僕は半年の育休を経て時短復職した後、飲み会を3ヶ月間すべて断り続けました。その結果、1on1で上司から「チームの空気感つかめてる?」と聞かれ、自分がインフォーマルな情報交換から完全に外れていたことに気づいたのです。

この記事では、時短勤務中の飲み会を「全断り」から「月1回の戦略的参加」に切り替えた経験と、家庭との事前調整の方法をお伝えします。

時短勤務者が飲み会を全部断ると何が起きるか

日本労働組合総連合会やワークポートの調査によると、飲みニケーションを「不要」と考える人は約6割にのぼります。「気を遣う」(61.8%)、「業務時間外だから」(47.4%)が主な理由です。

では、不要だからと全部断り続けるとどうなるか。僕の場合はこうでした。

  • 1ヶ月目:特に影響なし。「時短だから仕方ないよね」という雰囲気
  • 2ヶ月目:チーム内の雑談についていけない場面が増える。「あの件、飲みの席で決まったんだけど」と言われる
  • 3ヶ月目:上司から1on1で「チームの空気感つかめてる?」と聞かれる。同僚との温度差を自覚

フルタイムの同僚は残業後の飲み会で、プロジェクトの裏話や人事の動き、来期の方針など「公式には共有されない情報」を自然にキャッチしています。17時退勤の僕にはその機会がゼロでした。

「行くか断るか」の二択をやめる──戦略的参加3ルール

上司にどう切り出したかなんですけど、ある1on1の場で「飲み会、月1回だけ参加させてください」と宣言しました。「行くか断るか」ではなく、「どう参加するか」を設計する問題として捉え直したのです。

具体的に導入した3つのルールがこちらです。

ルール1:月初に「今月はこの1回だけ参加します」と事前宣言

月初に上司とチームに「今月は◯日の飲み会に参加します」と宣言します。ポイントは「断る日」ではなく「参加する日」を先に宣言すること。「付き合いが悪い」ではなく「計画的に参加する人」という認知に変わります。

参加日は妻と事前にカレンダーで調整。僕の場合、朝6時起床→子の朝食→保育園送りという朝ルーティンがあるので、飲み会の翌朝も僕が朝担当を維持できる日を選びます。翌日が妻の在宅勤務日だとベストです。

ルール2:滞在は90分で切る

最初の90分にいれば、乾杯の挨拶、近況報告、重要な話題はほぼカバーできます。二次会には行きません。「橘は前半だけ来る人」と認知されれば、上司が重要な話を前半にまとめてくれるようになります。

実際、3ヶ月ほど続けたらこの認知が定着しました。毎回「今日も早く帰るの?」と聞かれることがなくなり、判断コストがゼロになったのは大きかったです。

ルール3:不参加の翌朝にSlackでフォローを入れる

断った飲み会の翌朝、Slackで「昨日はお疲れさまでした。何か共有事項あれば教えてください」と1行だけ送ります。これだけで印象が「付き合いが悪い人」から「気にかけている人」に変わりました。

時短復職のリアルは、こういう小さな設計の積み重ねです。

「すみません退勤」をやめた日

飲み会の参加設計と並行して、もうひとつ変えたことがあります。

時短復職後、僕は毎日17時に「すみません、お先に失礼します」と謝りながら帰っていました。3ヶ月続けるうちに「自分は迷惑をかけている存在だ」という意識が染みついていった。

ある夜、妻から言われました。「息子が大きくなったとき、パパが毎日謝りながら帰ってきてたって知ったらどう思うかな」と。

翌日から「すみません」を「お疲れさまです」に変えました。たった一言の違いですが、自分の罪悪感が薄れ、周囲の反応もフラットになった。制度を使っていることに謝る必要はないのだと、言葉を変えてから気づきました。

飲み会の戦略的参加も、退勤時の挨拶も、根っこは同じです。制約を明示して、謝らない姿勢で臨むこと。この2つはセットで機能します。

家庭側の調整を忘れると破綻する

飲み会に月1回出るということは、その日の夜の家事・育児を妻がワンオペでこなすということです。自分が不在のときの家庭の負荷設計まで含めて初めて計画として成立します。

僕が実践している調整ステップは3つです。

  1. 月初の夫婦カレンダー共有:飲み会の候補日を2〜3日出し、妻の仕事・体調と照らし合わせて1日に絞る
  2. 当日の段取りメモ:保育園のお迎え時間、夕食の準備状況、子の体調を出発前に共有
  3. 翌朝の家事カバー:飲み会翌日は僕が朝の家事を通常より1品多くやる(洗濯を回す、ゴミ出し等)

「飲み会に行っていい?」と毎回許可を求めるのではなく、月初に仕組みとして組み込むことで、妻との交渉コストもゼロにできます。

3ヶ月後に起きた変化

この「戦略的参加」を3ヶ月続けた結果、以下の変化がありました。

  • 参加日に上司が重要な話をまとめてくれるようになり、情報格差が大幅に解消
  • 断った日も翌朝フォローで「気にかけている人」認知が定着
  • 飲み会の参加・不参加をめぐる毎回の判断コストがゼロ
  • 妻との調整も仕組み化され、「今日飲み会行っていい?」の交渉が消滅

飲み会は「行くか断るか」の二択ではありません。どう参加するかを設計する問題です。制約を先に明示して参加のほうを宣言すれば、周囲はその枠の中で調整してくれます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 月1回の参加で本当に情報格差は解消できますか?

完全な解消は難しいですが、体感で7〜8割はカバーできます。残りは翌朝のSlackフォローと、日常の1on1で補完します。重要なのは「何も知らない人」から「だいたい把握している人」に認知が変わることです。

Q2. 上司が「もっと来てほしい」と言ってきたらどう対応しますか?

「月1回と決めているので、この1回を大事にしています」と伝えます。制約を曖昧にせず明示することが信頼につながります。代わりにランチミーティングや15分の1on1を提案するのも効果的です。

Q3. 妻に「飲み会に行くな」と言われた場合はどうすればいいですか?

まず、妻の負担感を数字で確認することが先です。名もなき家事の偏りがある状態で飲み会の話をしても対立するだけ。家事分担の見直しをしたうえで「月1回・90分・翌朝カバー」の条件を提示してみてください。

Q4. 飲み会がない職場の場合、インフォーマル情報はどう取りますか?

ランチや朝の雑談が代替になります。出社日に意識的に5分だけ雑談の時間を確保する、コーヒーを入れに行くタイミングを合わせるなど、短い接触機会を設計するアプローチが有効です。

Q5. 時短勤務でなくフルタイムに戻ったら飲み会の頻度は増やすべきですか?

家庭の状況次第ですが、戦略的参加の考え方はフルタイムでも有効です。「全部行く」に戻す必要はなく、月2〜3回の中から優先順位をつけて選ぶ設計がおすすめです。

参考文献

  • 株式会社ワークポート「現役ビジネスパーソンに聞いた!飲みニケーションについて」(2024年調査)──飲みニケーション必要派50.9%、不要派49.1%
  • HR総研「飲みニケーションは時代遅れ?」(2023年調査)──年代問わず6割超が「いらない」と回答
  • 厚生労働省「育休復帰支援プラン策定のご案内」──復職後の職場環境整備とコミュニケーション支援
  • Job総研「忘年会についての調査」(2025年)──忘年会に参加したくない理由:プライベート優先、経済的負担