「公立中高一貫校を受けさせたい」と思い始めた小5秋──対策塾2年間50〜90万円と合否2シナリオの積立をCFPが整理する3ステップ

FP相談でよく聞かれるのが、「公立中高一貫校なら私立より安く済みますよね?」という質問です。たしかに学費だけ見れば公立は圧倒的に安い。でも適性検査対策の塾費用や、もし不合格だった場合の進路費用まで含めると、家計への影響は決して小さくありません。

今回は小5の秋、つまり「そろそろ受けさせてみようか」と家族会議が始まる時期に合わせて、公立中高一貫校受検にかかるリアルな費用と、合否2シナリオに対応した積立設計を整理します。

小5秋から受検本番まで:決断タイムラインと費用発生フェーズ

公立中高一貫校の受検は、私立中学受験と異なり2月初旬の1日勝負(多くの都道府県で1校のみ)。小5秋から対策を始めると、本番まで約15〜16ヵ月しかありません。

時期 フェーズ 主な費用
小5秋(9〜11月) 情報収集・塾選び 無料体験・説明会交通費 数千円
小5冬(12月〜) 対策塾スタート 入塾金1〜3万円+月謝2〜5万円
小6前半(4〜8月) 実力養成期 月謝+夏期講習10〜20万円
小6後半(9〜1月) 直前対策期 月謝+冬期講習5〜12万円+模試代
小6冬(1〜2月) 受検本番 出願料 数百〜数千円

公立中高一貫校6年間の学費:公立でも年間54万円超

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立中学・高校にかかる学習費(学校教育費+学校外活動費)の合計は次の通りです。

学校種別 年間学習費(平均) 3年間合計
公立中学校 約53.8万円 約161万円
公立高校 約60.6万円 約182万円
公立中高一貫6年合計 — 約343万円

「公立だから安い」は本当ですが、343万円は決して軽い数字ではありません。ここに塾費用が上乗せされることを忘れないでください。

適性検査対策塾2年間の費用相場:コース別比較

うちの長女のとき実際に3つの塾を比較したのですが、費用の差は2年間で20万円以上ひらきました。塾のスタイルによって費用構造が大きく異なります。

コース 形態 入塾金 月謝(目安) 講習費(年) 2年間総額目安
A:大手集団塾(公立一貫専門コース) 集団 2〜3万円 2.5〜4万円 15〜20万円 75〜95万円
B:地域密着型小規模塾 集団・少人数 1〜2万円 1.5〜2.5万円 8〜12万円 45〜65万円
C:通信教育+模試活用 自宅学習 0〜5千円 0.5〜1万円 3〜5万円 15〜30万円

合格実績を重視するならAコース、コストを抑えつつ合格を狙うならBコース、自律学習ができる子ならCコースも選択肢に入ります。ここではBコース(2年間45〜65万円)をベースに積立設計を組みます。

合否2シナリオの積立設計:差は月700円だった

FP相談でよく聞かれるのが、「受かった場合と落ちた場合で積立額を変えるべきですか?」という質問です。結論から言うと家計の見直しが先で、積立額の調整は後からでも十分間に合います。それどころか、2シナリオの月額差は想像より小さいのです。

項目 シナリオA:公立中高一貫合格 シナリオB:不合格→公立中学進学
塾費用(小5冬〜小6) 45〜65万円 45〜65万円(同)
中学〜高校6年学費 343万円(公立中高一貫) 343万円(公立中+公立高)
中学在学中の塾・部活費 60〜90万円(高校受験不要のため少なめ) 100〜150万円(高校受験対策塾含む)
小5〜高3合計 448〜498万円 488〜558万円
必要積立(残り7年・利回り2%想定) 月約5.1〜5.7万円 月約5.5〜6.3万円

シナリオAとBの月額差は400〜700円程度。今すぐ「合格前提の設計」「不合格前提の設計」と分けて考えるより、シナリオBの上限(月6.5万円)を目標に積み立てておき、合格後に余剰分を繰上げ充当するのが現実的です。

CFP流3ステップ:小5秋から始める教育費設計

ステップ1:まず「塾費用の手元現金」を確保する

積立運用より先に、小5冬〜小6の塾費用45〜65万円を現金で用意することを優先してください。運用中の資産を途中売却すると、タイミングによっては損失が出ます。塾費用は2年以内に使うお金なので、普通預金または短期定期預金に確保します。

ステップ2:中学進学後の学費はNISA積立で備える

成長投資枠(年240万円)を活用したつみたてNISAや、子ども名義の特定口座での積立も有効です。6年後・7年後以降に使う費用はインデックスファンドによる長期積立に向いています。月2〜3万円程度を中学以降の費用に充てる形で設計します。

ステップ3:合否が確定したら即リバランス

受検結果が出る2月に、積立プランを見直します。合格なら高校受験塾費用が不要になる分を大学費用積立に振り替え。不合格なら高校受験対策費として月1〜2万円を上乗せします。2月のリバランスタイミングを家計カレンダーに今から入れておくのが、準備を確実にするコツです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 公立中高一貫校と私立中学では、6年間の費用差はどのくらいですか?
文科省調査では私立中高6年間の学習費平均は約966万円。公立中高一貫(約343万円)との差は600万円超になります。ただし私立は学校により特待生制度があるため、個別に確認を。
Q2. 適性検査対策は、いつから始めるのが最適ですか?
合格実績の高い塾では小4〜小5前半からスタートする子が多い傾向です。小5秋からでも十分間に合いますが、夏期講習を経験させずに直前期を迎えるリスクはあります。入塾前に塾のカリキュラム設計を確認しましょう。
Q3. 公立中高一貫校は何校受けられますか?
都道府県によりますが、多くの地域で1〜2校のみ。私立中学受験のように複数校を受けるスタイルとは異なります。「1校しか受けられない」前提で費用設計・メンタル準備の両面から備えることが重要です。
Q4. 学資保険は公立中高一貫の費用に使えますか?
学資保険の満期設定が18歳(大学入学時)の場合、中学・高校の費用には間に合いません。15歳満期プランや中途給付付きプランでなければ教育費の前半をカバーできないため、加入済みの方は証券を必ず確認してください。
Q5. 共働きで月の手取りが50万円あります。教育費積立の目安は?
手取りの10〜15%(5〜7.5万円)が教育費積立の目安とされています。ただし住宅ローン返済中の家庭では圧迫されがち。結論から言うと家計の見直しが先で、固定費削減後に教育費枠を確保する順番が鉄則です。まず通信費・保険料から見直してみてください。

まとめ

  • 公立中高一貫校の6年間学費は約343万円だが、塾費用(2年間45〜95万円)が別途必要
  • 合格・不合格シナリオの月額積立差は400〜700円程度で、設計の大枠は共通化できる
  • CFP流3ステップ:①塾費用の現金確保→②中学以降の学費を長期積立→③合否確定後にリバランス
  • 小5秋の今こそ、「受検チャレンジ費用」と「進路確定後の6年費用」を切り分けて家計を整理するタイミング

参考文献

  1. 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2024年12月公表)
  2. Z会「公立中高一貫校受検コース 2026年度案内」
  3. ベネッセ教育総合研究所「第6回学習基本調査」
  4. 塾探しの窓口「公立中高一貫校対策塾の費用相場まとめ(2025年版)」